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ストーンカメオ講座

ベルント・ムンシュタイナー氏特別展 ─ 第三回 ─【ストーンカメオ講座】

2022年1月31日

前回に引き続き、ドイツ、イーダー・オーバーシュタインにて昨年開催されたベルント・ムンシュタイナー氏の特別展に際して行われたインタビューの内容と、「教会の窓」について皆様にご紹介いたします。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2022年2月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

特別展の概要

【会期】

【場所】

【名称】

2021年8月13日より10月8日まで

ヤコブ・ベンゲル財団博物館(ドイツ、イーダー・オーバーシュタイン)

“Twin Peaks ‒ Art and Design | Impressionen in Achat von Dieter Lorenz und Bernd Munsteiner”
「2つの頂点 ― アートとデザイン、メノウのインプレッション、ディーター・ローレンツとベルント・ムンシュタイナー」

特別展に寄せたインタビューにて(続編)

Q. あなたが住んでいる村の教会のために、息子さんと一緒に作った「教会の窓」について、その窓の前に立っている時はどんな心情であったか教えてください。

A. アゲートの縞模様と雰囲気は、私にとってパーフェクトです。私はこの分野で、まだまだできることがあると感じています。約10年にわたり、私はアゲート以外にも様々な素材で試作を重ねてきました。ルチルクォーツやルビーもカットして、モザイク模様に取り入れています。

Q. あなたは半透明の素材であるアゲートを活用して、新たな世界観を作り上げています。あなたにとってアゲートは、特別なものでしょうか。

A. アゲートはカラフルで、ラインとストライプの結晶を内包しています。あなたはそのアゲートの中に入って見なければ、理解できないでしょう。ラインやストライプを見つけることができた時、これは感動です。

もちろん、アゲートがさほど良い評価を得ていないことを私は知っています。灰皿に使われたりしますが、それはバカげていると私は思います。なぜなら、私の作品は灰皿よりもっと素晴らしいアゲートの完璧な一面を得ることができるからです。

アトリエに飾られた作品“Impressionen”
天然アゲート、ラピスラズリ、花崗岩、オパールを用いて作られている。

インタビューを通して、私の想い

 現在のような生活様式になって約2年が経過しました。その間、ベルント・ムンシュタナー氏、トム・ムンシュタイナー氏とも、以前のようにお会いすることができない中で、このインタビューは私とって大変新鮮な機会でした。彼に想いを馳せ、じっくりと彼の言葉に耳を傾けることで改めて彼の宝石と創作に対する想いに触れることができたと思うのです。特に、インタビュー後半で紹介された「教会の窓」は、ご自身も非常に貴重な作品と説明されていましたが、私も同感です。大変価値のある作品であり、後世に遺すべきものです。

そう考える私なりの理由をご説明します。

 一つ目は、この作品が約8,000枚の三角形と正方形のアゲートからなる非常に美しい作品であることです。
様々な天然模様のあるアゲートが透過した光によって妖艶に発色しますが、この色はアゲートならではで非常に美しいです。これを実現するためには、アゲート特有のこの宝石にしかない美しい縞模様を引き出す芸術的な感性、研磨技術、努力と情熱が求めれます。どれか一つが欠けても完成しえないものでしょう。

左:クロスをイメージしたもう一つの窓。
右:教会で説明をしてくださったベルント・ムンシュタイナー氏。

 二つ目は、この作品が親子共作であることです。
私の憶測ですが、ベルント氏は一人でもこの作品を完成させたでしょう。しかし、彼は原石選びから仕上げに至るまでを、息子トム氏とともに行いました。この壮大なプロジェクトを通じて、彼はお互いが持つ様々な想いや考えを共有したかったのではないでしょうか。

アトリエのアゲート作品の前で。(2019年夏撮影)
左からベルント氏、フィリップ氏、ユッタ氏、トム氏、筆者。

 三つ目は、彼が手掛けるアゲートの芸術作品の創作において、古代カメオ(世界三大カメオ)が参考になったと話してくれたことです。
先進的で常に新しいことに取り組んでいるベルント氏が、ゲマ・アウグステア(ウィーン美術史美術館所蔵、2020年4月号GSTVFAN参照)、タツァ・ファルネーゼ(ナポリ国立考古学博物館所蔵、2020年6月号GSTVFAN参照)といった古代カメオから学びを得ていたのです。
新しいものを作り上げるその原点には古代カメオがあった、これは私にとっても衝撃的でした。古代の様式、技法、美を理解している彼のバックグラウンドのうえに、数々の素晴らしい作品があるのだと思います。


 次回訪問が叶った際には、またゆっくりとこの教会の窓を眺めてみたいと思っています。その時は、また様々な角度から写真を撮って皆様にもお見せしたいと考えています。

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三沢 一章(みさわ かずあき)

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

> 三沢 一章のプロフィール・Q&A

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