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ストーンカメオ講座

世界三大カメオをもとめて その1 オーストリア・ウィーン編【ストーンカメオ講座】

2020年4月28日

 カメオの歴史をひも解くうえで欠かすことのできない世界三大カメオは、ヨーロッパ各地の著名美術館に収蔵されています。今回はそのひとつゲマ・アウグステアをご紹介いたします。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2020年4月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

ウィーン美術史美術館

 芸術の都ウィーン中心部にある、ウィーン美術史術館

 オーストリアの首都ウィーン。芸術の都、音楽の都と呼ばれる人口約180万人のこの街は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団や、デメル、ザッハトルテなど私たち日本人にとって馴染みが深い、美しい街です。そんなウィーン中心部に、Kunsthistorisches Museum(ウィーン美術史美術館)があります。ウィーン美術史美術館の向かいには、Maria-Theresien-Platz(マリア・テレジアン広場)を挟んでNaturhistorisches Museum Wien(ウィーン自然史博物館)があり、世界中から訪れた観光客で溢れています。

 ウィーン美術史博物館本館は、皇帝フランツ・ヨーゼフI世時代の1871〜1891年に建設され、建築にあたり、期間・予算の制約を一切受けなかったと言われています。贅をこらした壮麗で素晴らしい建物は、美術館に入る前から気持ちを高揚させてくれます。ウィーン美術史美術館をはじめ、リンク大通り沿いには歴史的建築物が非常に多く、街全体が博物館と言っても過言ではないほどです。

カメオコレクションの展示室

 美術館館内は、1階には絵画、0.5階には古代エジプト、古代ギリシャ、古代ローマの彫刻、2階には貨幣コレクションが展示されています。私たちにも馴染み深いブリューゲルやフェルメールの絵画が所狭しと展示されていて、圧倒されます。公式パンフレットには次のように書かれています。

 「当時のトップレベルかつ有名な芸術家達による世界でも珍しい金細工品、最高水準の彫刻品、素晴らしいブロンズ像、繊細で奇妙な象牙作品、名人芸の石器、貴重な時計、複雑な自動装置は何世紀にもわたって見る者を魅了し続け、あなたも感嘆することでしょう。」

 そう、この美術館は素晴らしい絵画と貴重品を収蔵していますが、加えて最高峰の金細工や彫刻品をコレクションしているのです。

世界三大カメオ ゲマ・アウグステア

世界三大カメオは、その歴史的価値と大きさ、美しさから 他に類をみないカメオであると言えます。

① タツァ・ファルネーゼ(紀元前175年頃、ナポリ国立考古博物館所蔵)
② ゲマ・アウグステア(紀元9-12年頃、ウィーン美術史美術館所蔵)
③ フランスの大カメオ(紀元24年頃、パリ国立図書館所蔵)


ゲマ・アウグテステア

 ゲマ・アウグステアは約25cmの大きさの黒白色めのうに彫られており、二段のモチーフの上段中央の王座に座っているのが、女神ローマ、右側には皇帝アウグストゥスが座っています。左側のゲルマニクス、ティベリュウス、ヴィクトリアの3人が戦いの勝利を収め、これからローマに帰還するとの報告をしています。下段には戦勝碑をかかげているローマ兵士と捕虜の姿が彫刻されています。紀元9-12年頃の作品と記録されています。2000年前に彫刻されたとは思えないほど、繊細で滑らかに彫られており、現在でも非常に美しいカメオです。

トロメアカメオ

 ゲマ・アウグステアを囲むように他にも多数のカメオが展示されていました。その中には、ウィーンに現存するカメオの中で最古と言われている「トロメアカメオ」も展示されています。2000年以上経過したとは思えないほど、艶やかな表面と大胆な彫刻が美しいカメオです。ウィーン美術史美術館のカメオコレクションは、世界で最も重要なものの一つであると言えます。


 一日ではその収蔵作品を鑑賞することは難しいウィーン美術史美術館。読者の皆様も訪れる機会がありましたら、ぜひカメオコレクションをご覧いただきたいと思います。その際は、ウィーン郷土料理もお忘れなく。

ウィーン伝統料理 Wiener Schnitzelウィナーシュニッツェル(仔牛のカツレツ)

※本内容は2016年1月号の内容を改変したものです。

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三沢 一章(みさわ かずあき)

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

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