日本と同様に、対面型イベントの延期・縮小が続くドイツですが、宝石の街イーダー・オーバーシュタインでベルント・ムンシュタイナー氏の特別展が開催されています。この特別展の模様を皆様にご紹介いたします。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2021年10月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
この特別展について
この特別展は、2021年8月13日より10月8日まで、イーダー・オーバーシュタインのヤコブ・ベンゲル財団博物館で開催されています。展覧会の名称は、“Twin Peaks – Art and Design | Impressionen in Achat von Dieter Lorenz und Bernd Munsteiner”、「2つの頂点 – アートとデザイン、メノウのインプレッション、ディーター・ローレンツとベルント・ムンシュタイナー」です。独自の世界観を持つムンシュタイナーカットが生まれることになった原点である、アゲート(メノウ)とムンシュタイナー氏の出会いを知ることができる特別展であり、同氏を理解するには、非常に有意義な機会だと私は思います。彼は、ご家族とともにオープニングに出席し、とても嬉しそうな表情であったとお聞きしています。
特別展に寄せたインタビューにて
Q. ジェムストーンはあなたにとって何か特別なものですか?
A. 私は三代目の宝石研磨士です。子供の頃から父と祖父と一緒に作業していました。生まれた時から宝石に関することが自然と身についていて、幼少期から宝石が好きになりました。宝石や結晶と会話をすることは世の中で一番楽しいことだと思っています。
Q. あなたは伝統工芸を勉強するだけでなく、大学で応用美術も専攻しました。それはあなたにどのような影響を与えましたか?
A . 私はイーダー・オーバーシュタイン近郊に生まれました。その後、私は産業について勉強しましたが、それは私の進むべき道ではないと思いました。私は常に斬新で面白いアイデアを考えていたのです。最初にアゲートを見たとき、その幻想的で不思議な色と縞模様に感動しました。それがきっかけとなり学校でさらに勉強しようと思いました。初めて学校へ行ったとき、そこは全く新しい世界だと感じました。当時、校長先生から「あなたは何をしたいのか?」と聞かれたのです。「私は石の研磨をしています。これから学校で何ができるのかを知りたい」と答えました。「今まで石の研磨をする人はこの学校にいなかった。是非私のクラスに入りなさい」と校長先生に言われたのです。
多くの人と学校で話してみると、伝統的なカットしかないことがわかりました。私は新しいカットを研究することを決め、もちろんそれは簡単なことではなかったですが、新しいアイデアがあれば世界を変えることができると思い、ほんの少しチャレンジするだけでも意味があることだと思いました。
Q. あなたはいつも石と対話をしていると言っていますが、話すことが出来ない石とどのようにしてコミュニケーションをとるのですか?
A . 石を見たり触れたりするだけではなく、石に入ることです。石に入って、住んで、見て、そして瞑想する。そうして元々見えないものが見えるようになるのです。それが石、結晶の言葉なのです。結晶の言葉でアイデアが生まれます。
私はアクアマリンの原石をテーブルに置いて、約三ヶ月の間対話をしたことがあります。毎朝話をして、返事を待っていました。アイデアはそんなに簡単には生まれないのです。
ベルント・ムンシュタイナー氏のインタビューはまだまだ続きます。次回も引き続きご紹介いたします。