長きにわたって人々から愛され続けているカメオ。当番組でも長らくご紹介させていただいております。放送枠拡大に伴って新しい視聴者の方々も増えてきておりますので、前回(第1回、第2回)に引き続きカメオの基礎から少しディープなところまで、一問一答形式でカメオについてご紹介します。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2021年8月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
カメオジュエリーとモチーフについて
Q. カメオにはどのようなモチーフが彫られますか?
A. 横顔、風景、動物、植物、名画、神話、仏像といったモチーフがあります。ギリシャ神話に登場する神々や、騎士のカメオは古代から見られるモチーフです。一方、花束、犬や猫のカメオは現代になって愛されているモチーフです。ゲルハルド・シュミット氏の仏像シリーズや、ハンス・ディーター・ロート氏の古代カメオシリーズ、シモーネ・ポストラー氏の動物シリーズなど、この番組でも度々ご紹介しております。
また、世界に一つの特別なカメオとして、ご希望の写真からお作りするオーダーメイドカメオも人気があり、特に愛犬のカメオは多くのお客様に喜んでいただいております。
Q. なぜ女性の横顔が多く彫られるのですか。
A. 女性の美へのあこがれや、装飾品としての美しさに起因すると考えられています。また、縞メノウが持つ二層のコントラストによって女性の横顔の輪郭が大変美しく表現できることも、理由の一つです。
ただ、歴史的に見て、女性の横顔がカメオのモチーフとして長らく主流であったわけではありません。現存する代表的な横顔のポートレートに、紀元1世紀前半に彫られた「プトレマイオス・カメオ」があります。13層の縞メノウに彫刻された非常に美しく歴史的価値の高い作品であり、手前には立派な兜を被った騎士が彫刻されています。このように、皇帝や騎士モチーフのカメオは古代より数多く見られます。写真技術のない時代に肖像画を宝石彫刻に残すことは、ごく一部の限られた人間にのみ許された権力の象徴でありました。
Q. カメオのジュエリーにはどのようなものがありますか?
A. 最も代表的なジュエリーはペンダントです。 他に、ブローチ、リング、イヤリング、ピンズ、帯留め、カフス、タイチェーンとしても楽しまれています。また、大型のカメオ作品は、額装して壁に飾ったり、オブジェとして飾られたりもします。
カメオの長い歴史にあって、時代によって愛されるアイテムは様々に変遷してきました。例えば、15世紀にサンドロ・ボッティチェリによって描かれた肖像画『若い女性の肖像』には、短めのチェーンで肌の上に古代カメオのペンダントを装う美しい女性が描かれています。また、18世紀になると華やかな宮廷文化の中で貴族の女性たちの間でカメオのブローチが愛されるようになり、フォーマルな装いにマッチする装飾品として大流行します。以前このコーナーでご紹介しましたように、ナポレオンも自身の王冠に40ピースのカメオをセットしたほど、カメオを愛していたことで有名です。
現代では、よりカジュアルなファッションに合うアイテムとして、ペンダントやリングが再注目され、男性がジャケットの胸元にピンズとして楽しむなど使い方の幅も広がってきた印象があります。フランスやイタリアでは、革紐やベルベット素材の紐で胸元や手首に身に着け楽しまれています。また、四角形や横型のカメオは帯留めとしても使われ、和装ならではのカメオの楽しみ方と言えるでしょう。
ストーンカメオミュージアム
大型のカメオオブジェは作品数が非常に少ないため見る機会が限られていますが、山梨県甲府市にあるストーンカメオミュージアムでは大型の様々なカメオオブジェを見学いただけます。
ストーンカメオミュージアム
https://cameo-museum.com/
カメオに関する質問がございましたら、ぜひ番組までお声をお寄せください。
こちらの記事もオススメ
-
ストーンカメオQ&A ─ 第一回 ─【ストーンカメオ講座】
長きにわたって人々から愛され続けているカメオ。当番組でも長らくご紹介させていただいております。放送枠拡大に伴って新しい視 ...
続きを見る
-
ストーンカメオQ&A ─ 第二回 ─【ストーンカメオ講座】
長きにわたって人々から愛され続けているカメオ。当番組でも長らくご紹介させていただいております。放送枠拡大に伴って新しい視 ...
続きを見る