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ストーンカメオ講座

ストーンカメオQ&A ─ 第一回 ─【ストーンカメオ講座】

2021年3月27日

長きにわたって人々から愛され続けているカメオ。当番組でも長らくご紹介させていただいております。放送枠拡大に伴って新しい視聴者の方々も増えてきておりますので、今回から数回に分けてカメオの基礎から少しディープなところまで、一問一答形式でカメオについてご紹介します。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2021年4月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

カメオの概要

Q. カメオとは何のことですか?

A. 凸型に浮き彫りされたものをカメオ(Cameo)と呼びます。一方、凹型に沈み彫りされたものをインタリオ(Intaglio)と呼びます。カメオ彫り、インタリオ彫りの両方を組み合わせた彫刻技法をシャティルング(明暗彫り)と言います。通常、宝石名と合わせてメノウカメオ、オパールカメオのように呼ばれます。

カメオ
(浮彫り)
インタリオ
(沈み彫り)
シャティルング
(明暗彫り)

Q. どのような種類のカメオがありますか?

A. メノウに彫刻されたメノウカメオのほかに、サファイア、トルマリン、オパール、ターコイズ、ラーバ、シェルや珊瑚などがあります。また天然石や天然素材以外の模造カメオとして、プラスチックやガラスに彫られているものもあります。メノウカメオはその歴史が最も長いことから、「本カメオ」とも呼ばれます。

溶岩に彫刻されたラーバカメオ
トルマリンカメオ
セラミックカメオ

Q. カメオの語源は?

A. ラテン語のCammaeusが語源です。英語ではCameo、ドイツ語ではKameenと呼ばれます。

カメオの歴史

Q. 宝石彫刻の歴史は?

A. 人類文明発祥の地メソポタミアに起源を発すると言われ、今から6000年近く前、紀元前4000年頃のエラムやシュメール文明の時代にすでに高度な宝石彫刻がなされていたと考えられています。当時彫刻された宝石は装飾用ではなく、大半が封印用の円筒型の印章でした。

Q. どのような彫刻品が残っていますか?

A. 円筒型の外周に彫刻されたシリンダーや、円錐型の平面に彫刻されたシールと呼ばれる印章が有名です。彫刻される図柄は神々や崇拝者の像、動物と戦う戦士などが好まれていました。日常生活に密着していたこれらの印章は、穴に紐を通して首からつるしたり、手首に結んだりして着用されていたと考えられています。これら印章がのちのカメオ彫刻に発展していきました。

写真左:シールのレプリカ  写真右:シリンダーのレプリカ

Q. カメオはいつ頃から彫られましたか?

 A. 紀元前4世紀、アレキサンダー大帝の時代からヘレニズム文明の時代にかけて浮き彫り彫刻品がみられるようになりました。

Q. 装飾品として使われるようになったのはいつ頃からですか?

ナポレオンの王冠

A. ルネッサンス時代には宝石彫刻はあざやかによみがえり、17〜18世紀の華やかな宮中文化の中で、貴婦人たちに本格的に愛されるようになりました。

 かの有名なナポレオン・ボナパルトは大のカメオ愛好家として有名ですが、1800年代初頭にはメノウカメオを複数あしらった王冠も作らせました。この素晴らしい王冠は、パリのルーブル美術館に展示されており、間近で見ることができます。


三沢 一章(みさわ かずあき)

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

> 三沢 一章のプロフィール・Q&A

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