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ストーンカメオ講座

ストーンカメオミュージアム【ストーンカメオ講座】

2020年11月30日

 2020年4月より3回に分けて、ヨーロッパの著名美術館に展示されている「世界三大カメオ」についてお話ししました。「もっと身近な場所で宝石、芸術に触れることができないか」というお声にこたえ、宝石の街として知られる山梨県甲府市の宝石、芸術に関するお勧めの見どころを数回にわたりご紹介していきます。初回は、ストーンカメオミュージアムです。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2020年12月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

宝石の街、山梨県甲府市

金櫻神社(山梨県甲府市御岳町2347)

 GSTVをご覧の皆様は、山梨県甲府市がジュエリーの集積地であることはご存知かもしれません。実は、その歴史はとても古く縄文時代まで遡ります。当時、狩猟のために使われていた「やじり」は、一般的に黒曜石で作られていました。しかし、山梨県内の遺跡からは水晶でできたやじりが出土しており、当時この地域で多く採れていた水晶をやじりに用いていたと考えられています。キラキラ輝く水晶のやじり、今考えるととても贅沢な狩猟道具です。これが山梨県における水晶加工の始まりと言えるでしょう。

 江戸時代になると、甲府市北部で採掘された水晶が研磨されるようになります。江戸中期、京都の玉造り職人によって研磨された水晶が現存しています。普段見ることはできませんが、その水晶は「火の玉・水の玉」と呼ばれ、甲府市御岳町の金櫻神社に御神宝として大切に保管されています。その後江戸末期、水晶の買い付けのため甲州を訪れた京都の玉造り職人「玉屋弥助」が研磨技術を伝承したことにより、甲府市でも水晶研磨が始まりました。

 明治になると、研磨技術がさらに発展し水晶加工職人が増えていきます。そして、明治10年に開催された第一回内国勧業博覧会には水晶の細工品が数多く出品され、甲府の地場産品として日本中に知られるようになりました。その後、大正、昭和と石の研磨技術に加え貴金属加工技術も発展し、ジュエリーの一大生産地と成長していきます。現在では水晶採掘は行われていませんが、宝石の研磨、彫刻、そしてジュエリーの製作に至る全ての工程の職人、業者が集積する特異な街として注目されています。

御神宝として大切に保管されている「火の玉・水の玉」
甲府市北部の山間部には、ゴツゴツとした白い岩肌が広がる

Stone Cameo Museum ストーンカメオミュージアム

 そんな宝石の街甲府市にあるストーンカメオミュージアム。ここには、40年以上かけて集められたカメオ作品が500点以上展示されています。ストーンカメオを1か所で500点以上見ることができるということも驚きですが、このミュージアムの特筆すべき点は3点あります。

 第一に、カメオの大きさ、形状などそのバリエーションの豊かさです。カメオと聞くと、ペンダントやブローチの大きさの彫刻品をイメージされる方が多いと思います。このミュージアムには、ジュエリー用の一般的なサイズから、30センチメートル四方の大判、さらにはサラダボウルのような大きな器状に彫刻されたカメオを見ることができます。世界広しと言えど、ここまで様々なカメオが見られる場所を私は他に知りません。すべて本物の希少な縞メノウに彫刻された手作りのメノウカメオです

 第二に、大半の作品がテーマに沿って数年から10年以上かけて製作されたシリーズ作品という点です。約8年間かけて彫刻された仏像シリーズや、約13年かけて彫刻された聖書シリーズなど圧巻です。他にもシェイクスピアやミレーのコレクションなどがあります。彫刻家の技術と情熱によってカメオに表現されているそれぞれの物語を楽しむことができます。装飾品の範疇を超えて、芸術品としてのカメオの素晴らしさを感じることができます。

 第三に、20世紀以降に活躍している現代彫刻家によって作られたカメオが展示されている点です。世界三大カメオをはじめ、ヨーロッパの著名美術館にはアンティークカメオが展示、収蔵されている一方で、現代の彫刻家の作品を見ることができる場所はそう多くありません。このミュージアムでは20世紀以降活躍している約10名の彫刻家の作品が展示されています。アンティークカメオだけでなく、現代カメオをともに鑑賞することで、2000年以上続くカメオ彫刻の歴史とその美しさを感じていただくことができます。

縞メノウの原石に触れることもできます

 完全予約制で専門スタッフによる約1時間のガイド付きです。安心してお楽しみいただけることと思います。

もっと詳しく

ストーンカメオミュージアム

〒400-0864 山梨県甲府市湯田2-7-5
TEL:055-235-5600
https://cameo-museum.com

開館時間:9:00〜17:30(当面の間、10:00~16:00)
休館日:土・日曜日・祝日(年末年始・夏季冬季休暇あり)

入館料(税込)
一般:2,000円
学生(中学生、高校生):1,000円
小学生以下:無料

新型コロナウイルス感染症対策として「完全予約制」となっております。

ご入館時に「本誌(GSTV FAN)で見た」とお申し出いただいたお客様(100名様限定)にプレゼント進呈。

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三沢 一章(みさわ かずあき)

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

> 三沢 一章のプロフィール・Q&A

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