宝石辞典

アンバー(琥珀/こはく)の特性、特徴、希少性、宝石にまつわる伝説とは

2015年11月23日

天然樹脂の化石で宝石でもある「アンバー」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説についてご紹介します。

 

アンバーとは

アンバーは太古からのもので、何百万年も前の森で枯れ果てた木の樹脂が化石になったものです。長い年月のあいだに化学的・物理的な変化が起こり、樹脂が化石となって、今日わたしたちがアンバーと呼ぶものができたのです。

研究によると、アンバーには200万年前から3億6千万年前のものまであり、宝石としての価値があるアンバーのほとんどが500万年前から5千万年前のものです。

アンバーはユニークな宝石です。その美しさに加えて、アンバーは過去への扉として人類に科学的に意味のあるデータを伝える役割も果たしているのです。有史前の生物の組織を保持するというその独特の性質は、宝石コレクターにも科学者にも高く評価されています。

アンバーの特徴
原産地 ロシア
明るい黄色、淡い黄色、青、緑、深い深紅色から深い茶色まで
属性 有機物
硬度2.00 - 2.50
屈折率1.53 - 1.55
比重1.05 - 1.09

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名前の由来

アンバーをこすると、静電気が発生します。

英語で電気を表す言葉「エレクトリシティー」は、古代ギリシャ語でアンバーを意味する「エレクトロン」あるいは「太陽で作られた」という言葉からきています。

アンバーの伝説とは

古代、アンバーは医薬として使われると同時に、死んだ人が地下の世界を旅するときに、不思議な灯りになってくれると信じられていました。それに関連して、かつては魔術師や賢者に特別な力を与えるとも言われました。

そのほかにも、アンバーには愛や力、幸運、癒し、保護、そして緊張した神経をなだめる能力があると考えられていました。

アンバーの特徴・特性とは

アンバーは一般的に有機物から出る炭素、水素、酸素からできる樹脂が化石になったものですが、その比率は、元になった植物の種類によって様々なのです。

 樹脂からアンバーへの変化やその過程は、完全に解明されているわけではありません。

しかし、必須条件と思われる要素はいくつか解明されています。特に次の要素です。

アンバーへ変化する必須要素

  • 分子重合(似ている、あるいは異なっている分子がたくさん集まり、高い分子量を持つ複雑な物質を作ること)
  • テレピン(揮発性の 油)の蒸発
  • 圧力

樹脂からアンバーへの変化のスピードは、直線的だと言われますが、実際には変動的です。

多種多様の化石になった樹脂が世界中で見つかっています。それぞれの鉱床にはそれぞれの化学的成分がありますが、見た目はほとんど変わりません。時にはどの場所で採れたのかを知るために化学的に詳しく分析しなくてはならないこともあります。

木の樹脂

木の樹脂は、分泌するとすぐに、もともとの柔軟性を失い硬くなります。樹脂には次のような種類があります。

樹脂の種類

  • 商業的に開発されたアンバーグリース(竜涎香)
  • アラビアガム
  • ダンマル
  • トスゴム
  • ガムラック(シェラック)
  • カウリ・ガム
  • マスティック
  • ミルラ
  • ロジン
  • サンダラックなど

コパル

樹脂の化石化が進むとコパルになります。コパルの語源はスペイン語の「コパリ」で、コパルの実際の用途である「香」を意味します。樹脂の中で、重合がかなり進んでいます。この時期、テレピンの蒸発が始まってコパルの表面が縮むため、破裂したりひびが入ったりすることもあります。

コパルとアンバーの違い

コパルとアンバーの違いについては、アンバーの専門家のあいだでも意見が分かれるところです。時間を追って重合の進み具合をチェックする方法がないからです。

コロンビアと南アフリカには、まだ千年に満たない大きなコパルの鉱床がありますが、コパルと呼べるものができるまで重合が進むには、さらに何千年もかかります。というのも、分子の結合のスピードには、多くの外部的な要因がかかわっているからです。

樹脂からアンバーへ完全に変化するにはさらにふたつの要素があります。熱と圧力です。熱と圧力は、重合の進行とテレピンの蒸発を促進しますが、アンバーの形成への影響は、完全には分かっていません。テレピンの大部分が蒸発するまでにかかる時間の長さは、環境的な要因と形成時の樹脂の性質によっても変わります。 

アンバーに含まれる有機物

アンバーによく含まれる有機物には、植物のかけらや小さな生物、それに様々な有史以前の昆虫などがあります。

これら古代の生き物の大部分は、今日のアリ、シロアリ、トビケラ、ムカデ、コオロギ、サソリ、ヤスデなどの絶滅してしまった祖先です。

このような生物が、何百万年も前の針葉樹からしみ出した新鮮でベタベタした樹脂に閉じこめられ、保存されてきたのです。アンバーに保存された昆虫は、ほぼ完璧な姿で、何百万年か前に閉じ込められた時、そのままの格好で見ることができます。

最も価値があるとされているのはバルト海のアンバー

ジュエリーや装飾品の製造に使うアンバーのうち、最も価値があるとされるのはバルト海アンバーです。

バルト海アンバーは、サクシナイトとも呼ばれますが、それは約5千万年前の第三紀に生えていたこのアンバーの元の木である「ピナス・サクシンフェラ」に由来しています。現存する木の中で見た目が最もよく似ていると思われるのはカウリマツです。

バルト海アンバーの主な産出地とは

今日、バルト海アンバーの主な産出地は、ロシアの港湾都市カリーニングラード。かつてのドイツの包領ケーニヒスブルク周辺の多くの鉱床です。

第二次大戦後にドイツから併合されたこの町は、バルト海南岸の、ポーランドとリトアニアの間に位置しています。ロシアの西の包領あるいは経済特区「ヤンター」(ロシア語でアンバーの意)とも呼ばれています。

カリーニングラード周辺の砂を30メートル掘れば、アンバーを含む9メートルの沖積層である「青い土」があります。採掘は露天掘りで、砂をさらうバケツのような機械で表面を掘って行います。掘り出した「青い土」を水で洗い、アンバーを手で拾うのです。

バルト海アンバーの色

バルト海アンバーの色は、一般的に黄色、金色、茶色などですが、報告されているだけで256の色合いがあります。アンバーの色は樹脂が木から分泌されたときの変化によって影響を受けます。

「海の石」と呼ばれていた

アンバーは驚くほど軽く、塩水に浮くことさえあるので、バルト海アンバーも波に乗って海を旅し、遠くイングランドやスコットランドの浜で見つかることもあります。「海の石」という呼び名は、この性質からきています。

ドミニカ産のアンバー

バルト海の次に重要な産地は、ドミニカ共和国やメキシコです。

映画『ジュラシック・パーク』以来、アンバーに閉じ込められた昆虫や動物への関心が高まり、コレクターが増えました。『ジュラシック・パーク』の映画では、恐竜のDNAをドミニカ産のアンバーから採ったことになっていました。しかし、ドミニカ産のアンバーは実際には恐竜より約2千500万年若いため、やや整合性に欠けます。しかし、世界のほかの産地のアンバーには、鳥類の先祖の遺伝子情報を持っている可能性があるものもあります。

1994年、カリフォルニアの分子生物学者が、1億2万年から1億3千万年前のアンバーから昆虫のDNAを取り出したと報告しました。ラウル・カヌ博士によると、その昆虫は恐竜が地球を歩き回っていたころのものだということです。マイケル・クライトンの小説が科学の世界で現実になる日がくるのかも知れません。

まとめ

「アンバー」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説についてご紹介いたしました。

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