かつてはルビーやサファイアと混同された「スピネル」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説についてご紹介します。
スピネルとは
スピネルは、かつてルビーやサファイアと間違えられていましたが、「詐欺師」ではなく「変装の達人」と言えるでしょう。宝石の世界の秘蔵の石ともいえるスピネルは、その色あせない輝きと華やかな色で珍重されています。色、希少性、歴史のどれをとっても魅力的なスピネルは、ジュエリーコレクションにぜひ加えていただきたい逸品です。
スピネルの特徴 | |
---|---|
原産地 | マダガスカル、タンザニア、ベトナム |
色 | レッド、オレンジ、ピンク、パープル、ブルー、ブラック |
属性 | スピネル |
硬度 | 8 |
屈折率 | 1.718 |
比重 | 3.60 |
名前の由来
スピネルの名前の由来は、八面体の結晶の端が尖っていることから、ラテン語でトゲを意味する「スピナ」、または鮮やかな赤い色合いから火花を意味するギリシャ語「スピンタリス」のどちらかだと言われています。
スピネルの伝説・歴史とは
正体を誤解されてい正体を誤解されていたために、スピネルには歴史上の記述がほとんどありません。しかし魔術師や錬金術師と不思議な関係や、ルビーと間違えられるなど宝石の歴史の中でユニークなポジションにあります。
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スピネルの特徴・特性とは
赤色の原因はクロム
レッドスピネルの見た目がルビーに似ているという裏には、ルビーやサファイアを構成する鉱物であるコランダム鉱床の近くで採掘されるという事情があります。また両者の深紅色の原因となっているのはクロムという成分です。
今日ではスピネルはその屈折度で容易に判別できます。レッドスピネルは単屈折で、ルビーは複屈折。レッドスピネルの赤色はルビーのものより混じり気がなく、より濃く見えます。
色のバラエティ
スピネルには、レッドやブルー、ピンク、オレンジを初めたくさんの鮮やかな色の石があります。色が名前の最初についたものの他に、以下のような名前のスピネルがあります。
宝石の名前 | 色 |
---|---|
アヤナスピネル | タンザニアのマヘンゲ産の、赤からピンクのスピネル。 |
バラスルビー | スピネルの旧称。現在のタジキスタンにあるバダクシャンのク・イ・ラル鉱山で産出されるスピネルを指す。 |
コバルトブルースピネル | 上質のサファイアに似た、スリランカやタンザニア産のこの美しいブルースピネルの色はコバルトによるもの。普通のブルースピネルもタンザニアで採れ、特にアメリカのモンタナ産サファイアに似ている。 |
フレームスピネル | 赤橙色のスピネル。 |
ガーナイト/ガーノスピネル | スウェーデン人科学者ガーンの名が付いた、グリーンまたはブルー系で亜鉛成分の多いスピネル。 |
レッドスピネル | 歴史上ルビーと間違えられていた赤いスピネル。 |
ルビセル | 黄色からオレンジ色のスピネル。 |
主な産地
ルビーと同様に、スピネルは通常風化した大理石からできた沖積鉱床から採鉱されます。
スピネルの産地はほんの一握りで、タジキスタンやスリランカ、マダガスカル、タンザニアの南東端部にあるトゥンドゥール、ベトナム中央部のルク・エン地域などに限られています。
宝石愛好家には上質のレッドスピネルの産地として、ビルマ(現ミャンマー)が昔から有名です。しかしタンザニアのキリマンジャロ地方で新しく見つかった鉱床の方にシフトしつつあります。タンザニア産のレッドスピネルは美しい赤ときらめくような輝きが言葉では言い表せない程だと、評判が高まっています。
スピネルのバリエーション
完全な八角形をした結晶は、カットされないでそのままジュエリーに使われることがあります。ビルマ人はこの宝石のことを磨かれたスピリットという意味の「nat thwe」と呼んでいます。この「nat thwe」 は、ごく軽く研磨をかけられることもあります。
不純物のないスピネルは白ですが、混合物があるといろいろな色になります。どの色もジュエリーに使われますが、最も高価で人気なのがレッドスピネルです。カラーチェンジタイプもたまにあり、日光の下では明るい灰青色になり、キャンドルライトの下では明るい紫になります。スタースピネルも特にスリランカ産のものが知られています。同じ石でも、4条の星と6条の星が両方見えることがあります。スピネル・キャッツアイは極めてまれで、ほんの一握りの例しか見つかっていません。
希少性とカッティングの技術
価格の面ではルビーより手頃なスピネルですが、実は希少性はルビーよりも高いのです。宝石業界では「希少」であることは市場価格と入手しやすさに影響するため、諸刃の剣といえます。スピネルを採掘する業者にとっては残念なことですが、スピネルは自然界でも有数の美しい宝なのですから、他の皆にとってはすばらしいニュースです。
スピネルは力強い色と丈夫さを兼ね備えた、どんなジュエリーにも合う宝石です。屈折率が高いので、カッティングが非常に重要でカッティングの技術が輝きに左右します。経験豊かな職人は、それぞれの石の物理的な性質と個々の魅力を十分に考えています。
アヤナスピネルの発見
タンザニアはスピネルの産地としては最も新しく、新しく発見されたことで価格が急騰しています。タンザニアで最初にスピネルが発見されたのは東アフリカ、タンザニアのマヘンゲ地域にあるマトンボ近郊でしたが、2007年7月に目を見張るような発見がスピネル業界をひっくり返しました。わずか三ヶ月で、イパンコ(マヘンゲ)で大きな結晶がいくつか採掘され、中には52キログラムもあるものがあったのです。
この美しい花のような輝きを初めて目にしたとき、私たちは「アヤナ」と名づけることにしました。アヤナとはスワヒリ語で「美しい花」「野生の花」という意味です。スワヒリ語(現地語でキスワヒリ)はタンザニアの公用語です。
まとめ
「スピネル」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説・歴史についてご紹介いたしました。
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