アレキサンドライトにまつわる伝承や逸話は、文化や大陸の枠を越えて数多く伝えられています。
そこでアレキサンドライトにまつわる神話や逸話をほんの一部をご紹介します。
アレキサンドライトの発見
ロシアでは「皇帝の宝石」と呼ばれているアレキサンドドライト。アレキサンドライトはロシアから始まります。
1830年10月のある寒い朝、貧しい炭焼き人のマキシム・ステファノビッチ・コシェフニコフは、トコバヤ川沿いのシダレカンバの林を歩いていました。嵐で倒れた大きな木の根に足をとられたコシェフニコフは、緑色の美しい石を見つけました。その石はすぐにエメラルドと鑑定され、まもなくロシアのウラル山脈の鉱山で採掘が始まりました。
ロシアのエメラルド鉱山では、ほかの宝石も産出されました。色を変える不思議な力を持つ新しい宝石もそのひとつ。日光の下で見ると深い緑色なのに、ロウソクの火で見ると赤みがかっています。
名前の由来
その色が変わる不思議な宝石は、若き皇太子で1855年に皇位につくことになる皇帝アレキサンドル二世にちなんで「アレキサンドライト」と名づけられました。
一説によると、アレキサンドライトが発見されたのがアレキサンドル二世の誕生日である1830年4月23日だったともいいます。
しかし、鉱床の発見時期と宝石の名付けの由来が一致しているわけではないようです。ウクライナ人のアレキサンドライト専門家、ヴィタリー・レペジ氏は、アレキサンドライトが実際に発見されたのは1834年4月3日、皇帝付きの高名なフィンランド人鉱物学者、ニルス・ノルデンショルド博士によるもので、正式にアレキサンドライトと呼ばれるようになったのは1842年以降だろうと考えられています。
センセーショナルを巻き起こしたアレキサンドライト
発見された正確な日付はさておき、新しい宝石「アレキサンドライト」はセンセーションを巻き起こしました。だれもがアレキサンドライトを欲しがったのです。
ところが鉱山労働者はもちろん面白くありません。アレキサンドライトのわずかな鉱脈を追ってペグマタイトを手で切り開いたり、露天掘りをしたり、小さなトンネルを掘ったりと、非常に原始的な方法で採掘しなくてはならなかったからです。長い冬のあいだ、刺すような寒さと目を開けていられないほどの吹雪の中で働くことを想像してみてください。そして、夏になっても決して楽ではありません。ブヨや蚊、アブの大群に襲われるに違いありません。
ロシアで人気を博す
アレキサンドライトが未来の皇帝の誕生日に発見されたという偶然は、この不思議な宝石が映し出す色がロシア帝国軍の色である赤と緑であることからも、大いにもてはやされました。
帝国を二重に意味するアレキサンドライトは、瞬く間にロシアで人気を博し、幸運を呼ぶと信じられていました。
アレキサンドライトにまつわる言い伝え
幸運を呼ぶと信じられていたアレキサンドライト。それ以外にもいくつかの言い伝えがあります。
ふたつの色を持つことから、ロシアではアレキサンドライトのジュエリーをひとつだけ身につけると孤独になると言われました。
またクリスタル療法では、アレキサンドライトは身につける人が危険に直面した時に直観力を高めてくれると言われています。創造性や創作力を刺激してくれると言う人もいます。
まとめ
アレキサンドライトにまつわる伝承をご紹介いたしました。
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