会期初日から大反響を呼んでいる国立科学博物館の特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」。
原石の誕生から宝石の多様性、ジュエリーの技巧まで幅広く宝石に関する学びを得られる特別展です。様々な角度から楽しむことのできる本展を私の視点でご紹介いたします。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2022年4月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」の概要
【会期】
【場所】
【名称】
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」展示内容
国立科学博物館で宝石に関する特別展が開催されるという話を聞いて以来、とても楽しみにしていました。それは、自然や科学技術に関する研究が主である「国立科学博物館」において、鉱物としての宝石の紹介に留まらず、ジュエリーや芸術品としての宝石が紹介されることに非常に好奇心を掻き立てられたからです。
それでは、展示の流れに沿ってご紹介します。
第1章「原石の誕生」
宝石の生成、鉱床、産出などを中心に鉱物学的要素の色濃い内容で、子供から大人まで楽しめるでしょう。まず目に付くのが高さ約2.5mのアメジストドームで、公式HPでも紹介されている通り迫力満点です。多くの人が写真を撮っていました。
本展のためにブラジルから運ばれたとのこと、輸送、設置はさぞ大変だったと思います。
第2章「原石から宝石へ」
鉱物が産出された後、人の手によって研磨、彫刻が施される様子を観ることができ、人類が古代に宝石で何を作っていたのを学ぶことができます。
また、「指輪が語る宝石の歴史」として国立西洋美術館所蔵の約200点の指輪が展示され、美しく多様なデザインに触れることができます。
第3章「宝石の特性と多様性」
多様な鉱物、宝石とそれぞれの色の特徴などが比較、鑑賞できる展示内容で、巨大宝石や美しい色の宝石を観ることができます。
3大産地のサファイヤの比較展示(ミュンマー産、カシミール産、スリランカ産)は、ぜひご自身の目で実物を観ていただきたいです。
第4章「ジュエリーの技巧」
ヴァンクリーフ&アーペル、ギメルといったハイジュエラー、ハイブランドが作り出す完成度の高いジュエリー作品が展示され、どのように宝石が宝飾品になるのかを学べます。
ティアラ、フルネックレス、ブレスレットなど超高級ジュエリーは観ているだけでドキドキします。
第5章「宝石の極み」
紀元前から近代までの様々な宝飾工芸作品が展示され、何千年も前のジュエリー、そして素晴らしいカメオの実物を観ることができます。自分が望む様々な角度から観ることができ大満足でした。
王室、皇族など皆さんも馴染み深い名前もたくさん出てきます。
私にとっては最も興味を惹かれたコーナーでしたが、このエリアは写真撮影禁止です。
必見!私のおすすめ作品!
最低でも5点は紹介したいのですが、誌面の都合上、悩みに悩み3点に絞りました。私のおすすめ作品はこちらです。
古代ローマ『アテナのカメオ』
第5章、アルビオンアート所蔵
紀元1世紀に彫られたと思われるギリシャの女神アテナ(知恵、芸術、戦略の神)のメノウカメオ。2000年前に彫刻されたメノウカメオを実際に観ることができます。当時、誰の依頼で何ヶ月かけて彫ったのか、誰が所有したのかなど、ロマンが広がる作品です。
オンエアの際によく私が申し上げる「カメオは2000年もちますから、安心です」を実際にお確かめいただけます。
ナポレオンの妹カロリーヌ旧蔵『バッカスのカメオ』
第5章、アルビオンアート所蔵
古代カメオのコレクターであったナポレオンが、きっと妹から自慢されたに違いないカメオと想像を巡らせます。優美で古典的な彫刻の風合いもさることながら、素材である5層メノウの美しさは圧巻です。
メノウカメオオブジェ『山頂で教えるイエス』
第3章、ストーンカメオミュージアム所蔵
着色処理のなされていない天然メノウの色味と、その大きさは必見です。不整形に入り込んだメノウの多層に美しいカメオ彫りが施された逸品です。
平日にも関わらず、多くの来場者に驚きました。美しい原石、宝石、宝石彫刻、ヨーロッパ宝飾史を代表するジュエリー作品を鑑賞でき、自分自身がパワーアップした気持ちになった一日でした。
見どころ満載の本格的な特別展です。ぜひ足をお運びください。
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