「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」が映画の中のジュエリーを考察。今回は、映画「ティファニーで朝食を」のジュエリーをテーマにご紹介します。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2021年7月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
映画「ティファニーで朝食を」
クラブガールのホリーに扮するオードリー・ヘプバーンの真珠のネックレスと、大きなダイヤモンド風イヤリングのインパクトは忘れられないシーンですね。そして、バックには「ムーン・リバー」の美しいメロディ。素敵!と思いつつ、肝心な映画の内容をほぼ覚えていないことに気がつきました。情けない・・・。この度、内容を含めてどんなジュエリーを観察できるか、改めて観てみました。
この映画の時代設定は、1940年代頃です。主人公のホリーは、ティファニーに出入りできるような富を得ることと、自由な生き方にあこがれる女性です。紆余曲折あったものの、最終的には同じアパートの住人である作家と結ばれるというハッピーエンドのお話。
映画:ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany's) 公開:1961年~
監督:ブレイク・エドワーズ 出演:オードリー・ヘプバーン
ファッションに合わせたコスチュームジュエリー
さて、ジュエリーに目を向けてみましょう。本物の宝石こそ出てきませんが、ファッションに合わせたコスチュームジュエリーが美しいこと!大ぶりのサイズと彩り豊かなデザインは、かなりこだわった仕立てであることが見受けられます。主人公のホリーが出かける支度の最中、イヤリングを着けながら、「耳飾りは男から女に贈る値踏み表ね」という気になるセリフがあります。どうやら、これらのコスチュームジュエリーにもランクがあることを匂わせています。
戦時中、アメリカは自国のファッション産業を奨励して産業の活力を維持していたとのことです。よって、消費は堅調でした。それに合わせるお洒落なアクセサリーは、本物のジュエリーと同じ技術の作りで、ヨーロッパから職人達がNY に移住し、コスチュームブランドを立ち上げ制作していました。もちろんアメリカ発も。ハリウッド女優が取り入れることで、またたく間に一般に広がっていきます。宝石は資産的価値を持ちますが、コスチュームは、配色、デザイン、仕立てに価値を見いだしています。上質なものは、本物の代用品という考えは全くなかったそうですよ。
映画の中のホリーは、いつも慌ただしく支度するのですが、時間がない割にはお洒落がきまっています。上質なコスチュームだということでしょう。私たちは、本物も上手く組み合わせてお洒落を楽しめたらいいですね。