最近、身につけるだけでなく「資産価値」としてジュエリーが注目されています。
理由はさまざまありますが、鉱山からの産出が減ってきていること、そして新興国の富裕層が素晴らしいジュエリーをコレクションする機会が増えていることが主な要因です。資産価値の観点からジュエリーを見ていく本連載。今号は新年特別企画として2024年、古屋さん注目の色石をご紹介いたします。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2024年1月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
資産価値として注目すべき色石 2024
2023年は久々に各国間の移動が自由になり、宝石業界でも商品の取引が活発になった年でもありました。石油、穀物、電子部品など全てが値上がりしたのと同様、宝石も、特にカラーストーンを中心に、顕著に価格が値上がりしました。円安という事情も重なり国内でジュエリーを制作する際、コロナ前の2倍程度のコスト高になったと感じています。
そんな中、資産価値の観点から今後も価格が上昇するであろうと予想されている宝石の特徴を記載したいと思います。
1.ルビー・サファイア・エメラルド
世界中で最も有名な色石界の横綱というべき3種類です。
新興国で富裕層が増加している状況下で、ブランド力の高いこれらの宝石たちは「最初に入手すべき宝石」という立場にあり、まだまだ供給が需要に追い付いていません。
また、【加熱・非加熱といった処理の程度】や【産地の違い】により相場がさらに細分化されることでしょう。
ただしご購入する際は、あまり細かい情報は気にせずに【見た目が美しい宝石】をお選びいただくことをオススメします。
2.パライバトルマリン・アレキサンドライト・インペリアルトパーズ
産出エリアが極端に小さく、新たな原石の産出が見込めないこと、そして日本国内で人気が高く今後海外でも人気が高まると予想されている宝石たちです。
日本で流行したアニメやファッションが後にアジア圏でも流行するのと同じように、宝石の世界でも「日本で人気のあるものは良いアイテムに違いない」というイメージがあるようです。
わかりやすい例がブラックオパールで、当初は日本が最も高い価格で輸入していた宝石でしたが、いつの間にか中国でも人気が高まり相場が急上昇しました。
3.タンザナイトと似ている特徴をもつ宝石
タンザナイトはポップで華やかな青紫色、かつ10ct前後のボリューム感のある石をサファイアよりも手軽に購入できるため、歴史が浅い宝石にも関わらず短期間で高級宝石の地位を確立しました。
このように五大宝石と水晶グループの中間に位置し、比較的大きめサイズを割安に手にできる宝石たちが注目されています。
具体的にはミントカラーのダイオプサイドやシリマナイト、クンツァイト(鉱物名:スポデューメン)などで、柔らかなパステルカラーと強い輝きを併せ持っています。ファッションとの親和性も高く、すでに欧州のバイヤーが狙っていることから人気は高まっていくと予想しています。
要注目!
ダイオプサイトはミントカラー、シリマナイトはレモンカラーに要注目!
上述した内容はあくまで個人的な所見であり、確定的な情報ではありませんが、海外マーケットで取引をしている宝石商の考えとしてお役にたつことができれば幸いです。
\もっと見たい方!/
古屋 聡(ふるや さとし)
大手鑑別機関や海外オークション会社に勤務した経験を活かし、様々な角度からジュエリーを解説するカラーストーンプロフェッショナル。FGA(英国宝石学協会)資格取得。