「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」が映画の中のジュエリーを考察。今回は、映画「マンマ・ミーア!」のジュエリーをテーマにご紹介します。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2021年11月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
映画「マンマ・ミーア!」
ある恋愛意識アンケートによると、コロナ前と比べて、51.7%が恋人が欲しいと思うようになったと回答し、更に交際相手を選ぶ基準が変わったと答える人が48%だそうです。そんな気持ちを表わすジュエリーと言えば、婚約指輪や結婚指輪でしょうか。
エーゲ海の島を舞台にしたMamma Mia! は、まさにこのご時世に観たいミュージカル映画の一つです。ホテル経営をする母ドナは、一人娘を女手ひとつで育ててきました。娘ソフィの結婚が決まり、ソフィは自分の父が誰か知りたいという思いから、母の昔の恋人3人にこっそり結婚式の招待状を送ります。かつては恋人だったうちの一人と、当時の誤解が解け、母は娘のために準備したその教会でプロポーズを受け、ハッピーエンドになるお話です。
映画では、男性が結婚指輪を差し出したので、それを紐解いてみましょう。
映画:マンマ・ミーア!(Mamma Mia!) 公開:2009年1月 監督:フィリダ・ロイド 出演:メリル・ストリープ/ピアース・ブロスナン/アマンダ・セイフライド
指にリングをはめる風習
プリニウスの博物誌によると、指にリングをはめる風習は、ギリシャからローマに伝わったとあり、一部の人だけが金で、普段は鉄製のリングを身につけると書かれています。
鉄は強さを現わすことで重要な意味を持つ金属でした。実際、古代ギリシャ人やローマ人が最初の結婚指輪を残しています。そして、輪の形と“約束”との連想は、古代からあり、ヴァイキングは、金属の腕輪の上に王や神への忠誠を誓ったということがあります。つまり指輪でも腕輪でも「輪」という象徴の下に、男性同士でもリングを交換したのです。光沢と装飾性を持っているのは男性同士の交換、恋人同士の交換は、飾りのないシンプルなものだったとのことです。
日本において、いつからクリスチャン以外の人々が結婚指輪を贈り合うようになったかはかなり地域差があるようです。しかし、個人同士の契約でリングをはめ合う風習は、とてもロマンチックですから、全国的に定着しています。既に持っている方もこれからの方も、改めてリングを見て温かい気持ちになれるといいですね。