「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」がジュエリーの様式とその歴史を解説。今回は、古文化 ケルト文様で見られるViking-Style(ヴァイキングスタイル)について、特徴などをご紹介します。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2020年9月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
ヴァイキングに由来するジュエリーデザイン
イギリスの古代ジュエリーのデザインで、ヴァイキングに由来するものがあります。それは、ねじった形のリングやネックレスです(写真参照)。
大英博物館に常設展示されているジュエリーですが、手作りの風合い、純度を感じる金色の濃さ、使用する重量の大きさ、が威厳すら感じさせてくれます。
まず、イギリス、ケルト文様から話を説き起こしましょう。
ケルト様式と呼ばれる文様は、渦巻きや組紐のような平面で紡ぎ出される文様や、動物と組紐の組み合わせなどバラエティに富み、ヨーロッパ装飾の礎にもなっています。
ケルト人については、固有の文字を残さなかったため文字記録は全く残っていないのが残念。最近の研究によると、ケルト語を話す民族集団は、紀元前500年頃に移動を行い、イベリア半島からイタリア半島、東ヨーロッパ、今のトルコの辺りまで包含していたそうです。結局、時代と共にその地域で同化してしまい、“実態が謎”というのが今でも続いている事実です。
ケルト語を話す集団が今のトルコ辺りまで定住地として分布していたのであれば、中央アジアの騎馬民族との交流はあったはずで、アジア的渦巻きや迷路のような組紐文様の影響を受けたと考えるのが自然です。では、立体的なねじり装飾はどこからきたのでしょうか。
スカンジナビアからの影響
イングランド、アイルランド、スコットランドでのケルト文様が既にあった上で、800年頃からヴァイキングの侵入によって、バリエーションが追加されてきたのです。
スカンジナビアやバルト海沿岸から来たヴァイキングは、重量のある金を立体的にねじり、ジュエリー兼資産として使用していました。大英博物館の解説によると、これは金の延べ棒と同じ役割だそうです。今もネックレスやリングの原型をとどめて残っているというのは貴重ですね。
そんな壮大なイメージを今のジュエリーでピックアップしてみました。