豆知識

宝石とは?色石を買うにあたって知っておきたい基礎知識ガイド

2000年5月16日

色石の持つ、美しさ珍しさ、歴史を感じさせる神秘的な雰囲気は時代を超越しています。多種多様な種類と色が揃っているという点ではダイヤモンドが引け目を感じてしまうほどではないでしょうか。またそれ故に、購入の前には、宝石についての基礎的な知識が必要になります。

宝石の価値を理解し評価することは、いい買い物をするのに絶対不可欠なものです。購入しようとする宝石の種類が何であれ、覚えておきたい定番のルールがいくつかあります。

 

そもそも宝石って何?

GIA(米国宝石学会)では「宝石とは、鉱物※または有機物※で、装身具として使われ、美しく、稀少で、耐久性があるという特質をもったものを言う」と教えています。

鉱物とは

鉱物とは、地球の地質学的な作用によってできた鉱物の結晶した個体のことを指します。

有機物とは

有機物とは、真珠のような動物や、琥珀のような木といった有機的な生命現象によってできた物質を指します。

GIAによると、美しさ、稀少性、耐久性の3つの特質のうち一つでも欠けていれば、宝石としての価値を失う恐れがあると言っています。

宝石の評価・4C

宝石の評価に関連して、4Cという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。4Cとは、次の4つのことです。

  • カラー(color)
  • カット(cut)
  • カラット(carat weight)
  • クラリティ(clarity)

世界中の宝石の専門家や鑑定家がこうした要素を信頼していますが、本記事ではさらに、色石を購入する際、その他に考慮する必要のある基本を取り上げることにします。

カラー

当然ながら、カラー(色)は色石を評価するにあたって最も重要な要素です。

価値の高い色とは

一般的に、宝石の色が魅力的であればあるほど、価値はより高くなります。明るく鮮やかで濃い色は、暗い色や淡い色のよりも良しとされ、垂涎の的となります。しかし、次のような例外の色石もあります。

  • モルガナイト
  • ローズ・ド・フランス・アメシスト

特定の色合いが宝石の価格を左右することもありますが、色は主観的なものなので、個人の好みも大変重要です。また理想としては、色は主な光の条件下ではに常に魅力的であるべきなのです。つまり室内でも戸外でも、昼間でも夜でも、宝石というものはいつでも美しくあるべきなのです。

タンザナイトの青紫やアパタイトの明るい青緑のように、違う色合いが混じり、組み合わさった石は魅力的で、価値も上がります。また、多くの宝石には、その種類でまさに最高の色を示す特定の表現があります。例えば「コーンフラワーブルー」のサファイアなどが挙げられます。そうした用語は、その宝石の種類に見られる中でも一番望ましい色を指しています。

宝石の発色

ほとんどの宝石の発色には、その宝石固有の成分による「自色性※」と呼ばれるものと、微量元素による「他色性※」と呼ばれるものがあります。

自色性とは

自色性とは、イディオクロマティックとも言い、鉱物の結晶構造に常に含まれる発色成分から結果としてみられます。

他色性とは

他色性とは、オロクロマティックとも言い、普通の結晶の一部ではない微量の成分によって色が現れます。

しかし宝石の中には、「カラーセンター※」によって発色する石もあります。例として次の石が挙げられます。

  • カラーダイヤモンド
  • ブルートパーズ

カラーセンターとは

カラーセンター(色中心)とは、光を吸収して発色する結晶構造の欠陥のことです。

カット

ダイヤモンドと違い、色石は様々な光学的特性を持ち、同一の理想形にカットすることはできません。上手くカットされた色石とは、均一な色を持ち、内包物の数は許容範囲であり、すぐれた輝きを見せ、上から見たときにカラットの大部分が見えるものです。宝石は自然の作り出したものなので、カッティング時にはカラット(重量)を維持することと、美しさとの両立を考えなければなりません。

宝石のカッティングのスタイルは大きく、次の2つに分けられます。

  • ファセット…幾何学的にカットされ平らに研磨された面のあるもの。
  • ノンファセット…カボションカットのように、幾何学的に作られた研磨面がないもの。

カラット(重量)

宝石の重量はカラットという単位で測ります。一般的に、宝石の重量が増すと、カラットあたりの価格も高くなります。大きな宝石は小さな宝石より貴重ですから、カラットあたりの価格は特別に高くなるのです。

宝石の価値は、あるキーとなる重量を超過すると急激に跳ね上がります。例えば実際のサイズが無視できるほどの差でも、2.01カラットのルビーは、1.99カラットのルビーより高い値がつけられます。

宝石は自然の作りだしたものなので、2つとして同じ宝石はありません。従って、GSTVで表記された重量は、それぞれのジュエリーデザインを作るのに使われる、最小合計宝石重量です。ひとつひとつ手作りの品ですので、たいていは宝石の重量は記載されたものより重くなっています。 カラット重量の端数を切り捨てた宝石を購入される場合は、カラットを大きくするためにカットの品質(美しさ)について妥協していないか、よく確かめましょう。美しさが損なわれると宝石の価値も下がってしまいます。

耐久性

宝石学者ジョージ・クンツは著書『TheCurious Lore of Precious Stones』の中で述べています。

貴重な宝石への愛は人間の心に植えつけられている。

宝石学者ジョージ・クンツ著『TheCurious Lore of Precious Stones』

その理由は、宝石の色や輝きだけでなく、その耐久性にもあると考えなくてはならない。

宝石学者ジョージ・クンツ著『TheCurious Lore of Precious Stones』

そしてさらに、

宝石の光沢と色合いは数千年前も今も同じで、あと数千年が経った後も同じことだろう。変化する世界にあって、この不変性はそれと自体魅力なっている。

宝石学者ジョージ・クンツ著『TheCurious Lore of Precious Stones』

宝石は、何年も身につけても割れたり色あせない耐久性がなくてはなりません。

その輝きと美しさは非常に長い間続くもので、時には所有者の寿命より長く、息子や娘の代に引き継がれ、続く世代にその真価を認めさせるものなのです。永く装用できる高い耐久性のある宝石は、耐久性の低い宝石より一般的に価値が高いものですが、適切な手入れさえすれば、どんな宝石のジュエリーも次の世代に譲り渡すことができるものです。

耐久性は3つの特性が組み合わされたものです。

Hardness:硬度

これは、表面を引っ掻いたときに傷つきにくい性質のことです。

天然の物質で最も硬いのはダイヤモンドです。ダイヤモンドに続く硬度の第2位はコランダム(ルビーとサファイア)、第3位にトパーズが続きます。

硬度は1から10の尺度で表されます。硬度10が一番硬く、硬度1は一番やわらかいのですが、比較による相対的な尺度であって、硬さが数値に比例するわけではありません。選ばれた鉱物が硬度レベルの基準になっています。このシステムは18世紀ウィーンの鉱物学者フリードリッヒ・モースが考案し、その名前がつけられています(モース硬度)。

Toughness:堅牢性(靱性)

これはフラクチャー※やクリーベッジ※が発生するのをくいとめるのことです。

フラクチャーとは

フラクチャーとは割れのこと。変則的で方向性のない破損を指します。

クリーベッジとは

クリーベッジとは劈開のこと。ある一定の結晶面に沿って裂けることを指します。

Stability:安定性

物理的・科学的ダメージに対する抵抗力のことです。

希少性

そもそも宝石の定義からいって、宝石とはすべて珍しいものです。希少性は多くの場合、互いに連性のない3つの方向から語ることができます。

  1. Geological:地質学的
  2. Marketplace:市場
  3. Comparative:比較

一般的により珍しい宝石のほうが珍しくない宝石より高く評価されます。ただし地質学的な珍しさは必ずしも市場で高い価値がつけられるかどうかには結びつきませんし、またその逆もあります。宝石の珍しさと、マーケティングが大きな役割を果たします。地質的に珍しい宝石であることが、商業的に存続可能かどうかを危うくすることもあります。

希少性と市場の価値が合わない例

ツァボライト・ガーネットはエメラルドより希少で、エメラルドより美しいこともよくあるのですが、希少であるために、その価値を消費者が認識しているかどうかという点でエメラルドに太刀打ちできないのです。

ダイヤモンドの在庫が莫大な量にのぼり、世界中で新しい鉱脈が発見されていることからすると、他の多くの色石と比べたとき、ダイヤモンドは特に珍しいものではありません。市場で販売される磨かれたダイヤモンドを徹底的にコントロールし、さらに消費者向けに洗練された宣伝をすることで、ダイヤモンドは珍しく、誰もが欲しがる製品として認知されるまでになったのです。

エキゾチックジェム

もしもある宝石の種類が大変希少なため、基本的に一般の人々には知られていないとすると、その石は「エキゾチックジェム (exotic gem)」 に分類されることが多くなります。

次のような宝石はきわめて珍しく、魅力的で、耐久性もあります。

  • ボラサイト (Boracite)
  • チルドレナイト(Childrenite)
  • シンプソナイト(Simpsonite)

ただし、こうした宝石が存在するということすらほとんど知られていないために、その希少さに見合った価格に値付けすることができないのです。

ペアとスイート

色、クラリティー、カットがぴったり一致するペア、またはスイート(一組)の宝石は、同程度のクォリティの単独の宝石よりも、カラットあたり、または一個あたりの単位が高くなります。多くの宝石が希少であることからして、品質の一致するセットはあまりにも発見が難しく、そのセットのなかの宝石がひとつずつ別々に売られた場合よりカラット単価は高くなることでしょう。


\ジュエリーを探すならGSTV/
GSTVでは、様々な宝石を使ったジュエリーをご用意しております。

-豆知識