写真から見る「宝石の街ドイツ、イーダー・オーバーシュタイン」

35年にわたり毎年のように訪問を重ねてきたドイツ イーダー・オーバーシュタイン。今年8月の再訪を機に、改めてその魅力をお伝えしたいと思います。
読者の皆さんに、もっとイメージを膨らませていただきたいという想いから、今回はいつもと趣向を変え、写真中心のアルバム形式でお伝えします。

（番組ガイド誌「GSTV FAN」 2023年12月号掲載記事をWEB用に再編集しております）

― イーダー・オーバーシュタイン訪問記 ―

　日本だけでなく、ドイツを含むヨーロッパも「猛暑」と言われるほど連日暑かった今年の8月、私達3人はヨーロッパ3大空港のひとつ、フランクフルト空港に降り立ちました。
近年、番組ロケや買付などで個別に訪問することが多かったため、ストーンカメオミュージアムの古屋館長、カメオ専門会社のエキスパート桐戸氏、そして私の3人が揃ってのイーダー・オーバーシュタイン訪問は実に5年ぶりでした。

フェルゼン教会を望むイーダー・オーバーシュタインの街並み。
人口は3万人弱の緑豊かな小さな街、ドイツ語で「石の上の町」を意味し、15世紀半ばにメノウ鉱山が発見されたことから宝石研磨技術が発展。1870年に採掘が中止されてからも世界中から原石が集まる宝石の集積地として有名。

アトリエ・シュミット

カメオ彫刻家ゲルハルド・シュミット氏と

カメオ彫刻家ゲルハルド・シュミット氏と自宅兼アトリエの庭にあるテラスでの1枚

古代ローマカメオの復元作品

古代ローマカメオの復元作品十数点を見せていただく。
昨年日本語版も発刊された著書「宝石に秘められた政治」にもこれら作品が紹介されている。精巧な作りと表現力は圧巻。

仏像シリーズ作品

近年は大型の仏像シリーズ作品を制作しており、最新作の「普賢菩薩」は、精細な彫刻に加えて、形状やデザインも非常に独創的。彼の芸術性は日々進化している。

アトリエ・ムンシュタイナー

アトリエ訪問

続いてアトリエ・ムンシュタイナー。
ベルント氏とは1年ぶりの再会で思わず肩組みをさせていただく。今回印象的だったのは、祖父と父に代わって、フィリップさんが作品紹介、商品説明をしてくれたこと。その堂々たる姿にこれからがとても楽しみ。

スライスメノウのオブジェとスイス産水晶の原石

今回は、近所にある消防団の建物へ案内してもらい、寄贈したスライスメノウのオブジェを見学。また、最近ベルント氏が夢中になっているスイス産水晶の原石の美しさ、面白さの説明を受けた。

機械彫り工房

メノウ原石とご対面

メノウカメオ機械彫り彫刻工房でブラジルから届いた大型の良質なメノウ原石とご対面。最近は、大型で良質な原石が入手困難になっていることを改めて痛感。

カメオ用に原石をカットする工程では、熟練の職人が活躍していた。桐戸氏はメノウカメオの品質チェック、仕入れ作業に真剣な眼差し。

若い世代のカメオ彫刻家

今回最も嬉しかったことは、20代の女性ロニャ・ピーロートさんがカメオ彫刻家を目指して職業訓練をしていたこと。2022年ドイツ宝石宝飾コンテストで優勝した経歴の持ち主。

真剣にカメオ彫刻に取り組む彼女に彫刻技法を指導するのは、カメオ彫刻家アニャ・シュスラー氏。

シュスラー氏とも久しぶりの再会を果たし、新たに彫刻しているカメオを見せてもらった。彼女たち若い世代のカメオ彫刻家が活躍することを願っている。

おわりに

訪問記はまだまだ続きますが、続きはまた別の機会にお話しします。ライン川流域のブドウ畑の写真です。
余談ですが、ワインとビールも良い仕事をするためのエネルギー源です。

三沢 一章（みさわ かずあき）

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

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