ジェムストーン講座

バイヤー内藤、宝石を語る。「サンタマリア アフリカーナ アクアマリン」

2016年7月1日

石の買い付けからデザイン、製造販売まで一貫して行うGSTVだからこそご紹介できる高品質なジェムストーンの数々。スーパーバイヤーとともに数々の鉱山や海外マーケットに足を運んだ内藤秀治が解説するGSTVジェムストーン講座です。
今回はサンタマリア アフリカーナ アクアマリンをお送りします。

(番組ガイド誌 2016年7月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

サンタマリア アフリカーナ アクアマリンをもとめて
〜ジャイプール〜

最後に訪れてから10年くらい経つでしょう、街の印象がだいぶ違いました。以前は牛やラクダがいたるところにいたのですが、飛行場からピンクシティーの中心地まで牛もラクダも見ることがありませんでした。

インドのラジャスターン州の州都ジャイプールにピンクシティーというピンク色の城壁に囲まれた街があります。1876年にイギリスの王子様が来るときに歓迎の意を込めてピンクに塗ったのが始まりでそれ以降も伝統的に続いています。

このピンクシティーこそがカラーストーンの原石の世界でも有数な集積地なのです。

▲ サンタマリア アフリカーナ アクアマリン

ルビーやサファイア等のコランダムの原石はタイのチャンタブリに集積されるのですが、東アフリカ諸国やマダガスカルで掘られたコランダム以外の原石の大部分がジャイプールに集まります。この地のマハラジャ(州を収める王様)が古くから伝統的な職人を集め宝石の研磨やジュエリーの製作に力を注いだのです。何世紀も続く古い技法から近代的な機械を導入した工場など色々見ることが出来ます。

今回の一番の目的は『サンタマリア アフリカーナ アクアマリン』と呼ばれている色の鮮やかな濃いブルーを持つアクアマリンの買い付けです。

「サンタマリア アフリカーナ」名称の由来とその産出量

かつてブラジルのミナスジェライス州にあるサンタマリア・ジ・イタビラ鉱山で色の濃い素晴らしい品質のアクアマリンが掘られていました。1900年代半ばには閉山してしまったのでこの地からの新たな産出はもうありません。

1970年代に入り、アフリカのモザンビークで色の濃いアクアマリンが発見されました。かつてブラジルで産出されていたサンタマリア鉱山のアクアマリンと同じ色合いでしたが、きちんと区別するためにサンタマリア アフリカーナと名付けられました。ところが、このモザンビークの品質のいい原石も近年激減してしまいました。色々な産地の原石を見てきましたが、当然どの産地でも良し悪しはあります。モザンビークの良質な原石が入りにくくなっているという情報は聞いていたのですが実際に行ってみると本当に少なくなっています。

サンタマリアカラーができるまで

▲ サンタマリア アフリカーナ アクアマリンの原石

今回の一番の収穫は、マダガスカルで取れた良質な原石を手に入れることが出来たことです。とても濃いブルーを持つアクアマリンです。若干のグリーンを含む原石は加熱により鮮やかで深い色を持ちます。

コランダムはほとんどの場合原石の段階で加熱をするのですが、アクアマリンはプリフォームが終わってから加熱をします。コランダムほど高熱にはせず500℃から600℃くらいの比較的低温で加熱するようですが、加熱時間や加熱方法は企業秘密で詳しくは教えてもらえませんでした。加熱により緑の色味はなくなりまさに色鮮やかなサンタマリアカラーになるのです。

原石がジュエリーになるまでの工程

この加熱の終わった原石を何軒もの研磨工場に振り分け研磨をします。プリフォームと言う、あらかた形を決めて粗磨りをしてある原石はダイヤモンドの研磨盤でファセット面を付けていき、最終的に1ミクロンのダイヤパウダーを塗った銅板で磨き上げられ完成します。

原石~プリフォーム~加熱~研磨と言ったすべての工程を自身の目で確認し最終的にカット石の検品を行いました。その石は自社の製造工場に輸出され製品が作られます。原石の購入から企画・製造まで一貫して自社で行い直接お客様へお届けします。

これがGSTVのダイレクト価格です。現地へ行かなければわからない情報や自身の目で見た経験を生かし、これからもより良い情報とより良いジュエリーを皆様にお届けしていきたいと思っております。

\もっと見たい方!/
GSTVでは、様々なアクアマリンのジュエリーを種類豊富にご用意しております。

内藤 秀治(ないとう しゅうじ)

宝飾品職人から宝石バイヤーを経てGSTV入社。仕入れの責任者として海外で原石を買い付け、作りの細部にまでこだわるバイヤー。

> 内藤秀治のプロフィール・Q&A

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