GSTVでも大変人気をいただいている鍛造リング。なかなか聞き馴染みのない名称ですが、一体どのように作られているのか。気になる工場に、ジュエリーコメンテーター渕野さんが潜入しました。
お話を伺ったのは鍛造リング製造メーカーの常務取締役である野澤さん。鍛造リングの魅力についてお伺いします。
GSTV番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」2016年8月号掲載
鍛造リングとは?
渕野:本日は工房を見学させていただいてありがとうございます。鍛造リングを実際に作っている工程は拝見したことがないので、とても参考になりました。鍛造というのが製法であることはわかっていたのですが、実際にこれほど違うとは驚きでした。そしてわかっていても尚、鍛造というのが耳馴染みがなくて…。
野澤:知らない方が聞くと、人の名前みたいですよね(笑)鍛造さんのリング。どうしたら浸透するだろうと思って、「鍛造さん」というキャラクターを作ってSNSで公開しようかと思ったくらいなんです。ジュエリーに似つかわしくないかと思い、断念しましたが。
渕野:鍛造さん!ちょっと見てみたい気もしますが。
鋳造(ちゅうぞう・キャスト)製法とは
最も一般的なジュエリーの製造法。高温で溶解した金属を指輪の形の鋳型に流し込み、冷えて固まった指輪を研磨して製品にする。デザイン性に優れた商品が製造できるが、鍛造に比べると柔らかい。
鍛造(たんぞう)製法とは
ヨーロッパ(ドイツ・スイス等)で伝統的な製造法。金属を溶かすことなく、機械で加圧、圧縮を繰り返しながら指輪の形にする。地球で一番硬いダイヤモンド等を使い、精密機械で1本づつ模様になるように削り出して作るので、地金が鍛えられて、硬くて疵が付きにくく、変形しにくい※。※曲げ強度約2.5倍以上、Hv硬度(引っかき耐性)約1.5倍以上(製造元調べ)
製造工程からみる鍛造リングの魅力
渕野:始めにカットされたリングを見せていただきましたが、厚さはそれほどでもない丸いドーナッツ状の状態から、リングのような立体的な形状になるというのが実際に見ても信じられなかったです。
野澤:始めにカットした状態では1.5mmから3mmくらいなのですが、その厚みが逆にリング自体の厚みになるんですね。あのドーナッツ状の板をプレス機で何度もリングの形になるように絞るんです。最初のカットには45トン、プレスには10トンの圧力を加えるんですよ。
渕野:その圧力だけで、鍛造がどれほど硬く作られているかわかりますね。でも、そうして出来上がるのは真円のリングで、デザインのバリエーションはあまりないのかと思っていたのですが、そんなことはないんですね。
野澤:そうなんです。むしろ、そのデザインこそが鍛造リングの魅力だと思っているのです。特にGSTVでは、他にはなかなかないようなものをご紹介させていますね。鍛造リングは地金同士を組み合わせたり、表面にとても繊細なデザインを施したりなど、様々なことができるんです。
野澤:特に表面の加工は1/100mmの精度で精密機械で模様を入れるのですが、鋳造では地金のヨレなどにより、このような精度は出ないんです。この模様はダイヤモンドの刃を使って入れるのですが、それにより削り出されたラインは、仕上げの磨きを行った時とほぼ変わらないくらいのレベルに仕上がります。それによって鏡のように美しく輝く稜線が描けます。鍛造リングの魅力は強度や硬度ばかりが伝えられていますが、この輝きを生み出せることこそ、一番の魅力だと思っています。
渕野:なるほど。仕上げの磨きを裏面や側面しか行っていないのは、そういうことにあるんですね。
野澤:デザインを入れた後に磨きを必要とするのでは、滑らかな稜線は描けません。だからこそ、ダイヤモンドの刃を使用することにこだわりがあるんです。1本数万から数十万円するのですが……。
渕野:鍛造リングの魅力は、強度、硬度、緻密なデザインにダイヤモンドの刃による輝くラインなんですね。
野澤:はい。これらを一言で表現できるようなキャッチーな名前を是非つけていただきたいと思います。
渕野:鍛造リングの新しい名前ですか?難題ですね(笑)
最後に
今回取材をさせていただいた野澤常務は新しい鍛造リングとともにGSTVにご出演予定です。まだ、鍛造リングを手にしていないという方も、ぜひ鍛造デビューをお勧めいたします。
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