ストーンカメオ講座

ストーンカメオQ&A ─ 第二回 ─【ストーンカメオ講座】

2021年5月31日

長きにわたって人々から愛され続けているカメオ。当番組でも長らくご紹介させていただいております。放送枠拡大に伴って新しい視聴者の方々も増えてきておりますので、前回に引き続きカメオの基礎から少しディープなところまで、一問一答形式でカメオについてご紹介します。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2021年6月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

カメオ用のメノウとその特性

Q. 古くからメノウがカメオに使われているのはなぜですか?

A. メノウは天然宝石の中で唯一白い層を持つ石で、その異なる層の色のコントラストを利用して美しいモチーフを表現できることから、メノウに浮き彫り彫刻が施されるようになりました。これが「メノウカメオ」と呼ばれ、2000年以上前から人々に愛され続けています。

この石の場合、茶-白-茶の3層を持つ縞メノウの原石(カメオの彫刻が可能な石です)

Q. カメオ用のメノウの原石はどこで採掘されていますか?

A. 現在、カメオ用に使える複数層を持つ良質なメノウが産出するのは、ブラジルの南端リオグランデ・ド・スル州です。かつては、ドイツ イーダー・オーバーシュタインでも採掘されていました。

Q. カメオ用のメノウには、どのような特徴がありますか?

A. 産出するメノウの中の約1割に結晶化した白い層を持つものがあり、さらにその1割ほどにまっすぐな縞目を持つ原石があります。これを縞メノウと呼び、カメオに使用できるのはその複数層からなる縞メノウだけなのです。

カメオに適した白い層を持たないメノウの原石
カメオに適したまっすぐな白い層を持つメノウの原石

Q. どのように着色していますか?

A. 鉄分が多い地層から褐色の縞メノウが産出したことや、2000年以上前からすでにはちみつや砂糖水に付けて焼くことで黒色に着色していたことが分かっています。縞メノウは古くから様々な技法で人の手によって着色されてきました。

カメオ用にカットされた縞メノウ
天然宝石のため、白い層の形状と色味は石によって様々

現在では、何百年も続く伝統的な技法をもとに、イーダー・オーバーシュタインのカメオ工房において、熟練した職人が原石の状態を見たうえで、温度を調整しながら数週間から数か月かけて着色処理を施しています。液体の種類や濃度、温度や焼く時間といったレシピは、「門外不出のレシピ」とされ代々受け継がれています。

Q. どのような色がありますか?

A. 黒白、赤白、緑白、茶白、青白、黄白があります。そのうち、青白、黄白は着色処理の難易度が高く、良質なものは非常に少ないです。

ウィーン美術史美術館(オーストリア)のカメオ・コレクション
黒色や茶褐色に着色されたカメオが見られる

番外編

Q. お手入れ方法は?

A. 使用後は柔らかい布で軽く拭き、直射日光などの強い光を避けて保管されることをおすすめします。汚れが目立つ場合、カメオ表面をやさしく水洗いすることが可能です。その後、乾いた柔らかい布で水分をしっかりと拭き取り、乾燥させてください。そうすることで長きにわたりその美しさを保つことができます。


三沢 一章(みさわ かずあき)

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

> 三沢 一章のプロフィール・Q&A

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