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古代アンデス文明の黄金~伝説の黄金郷エルドラド~

「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」がジュエリーの様式とその歴史を解説。今回は、古代代アンデス文明の黄金「伝説の黄金郷エルドラド」についてご紹介します。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」2020年11月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

黄金伝説エルドラド

南米の文明については未だに謎が多いようですが、今回は、1989年に文化人類学者の大貫良夫氏率いる東京大学アンデス調査隊により発見された現在のペルー西南部のクントゥル・ワシ遺跡とパコパンパ遺跡で発見された黄金品のモチーフについてと、黄金伝説エルドラドはどこでなぜ生まれたかに迫ってみたいと思います。

調査隊によって発見された遺跡の副葬品の中に、アンデス最古の黄金製品が200点あまり見つかりました。約3000年以上前の黄金芸術品です。その功績は、日本の新聞でも取り上げられていたので覚えていらっしゃる方もおられるかもしれません。

シンボルとして崇められていた黄金

黄金は個人の富ではなく神聖な存在で宗教的シンボルとして崇められていました。耳飾り、鼻飾り、金冠、首飾り等ありますが、注目したいのはそのデザイン。手、蛇、ジャガーを好んで使っています。これらのモチーフは、一説によれば、力、叡智、エネルギーを表しているそうです。金の純度は、2%ほどの銀が混じっていたそうですが、この時代でほぼ純金と言えるところまで精錬できているのが素晴らしいですね。

それらの黄金はどこから来ているのでしょうか。

宗教人類学者の実松克義氏の著書によると、黄金郷エルドラドは、スペイン人が、もともと当地で伝わっていたとされるパルティティ伝説※とを結びつけて創り出した黄金の土地伝説だそうです。

インカに大量の黄金が存在することを知った征服者達によって、1500年前後から語り継がれたと考えられます。パルティティは、アマゾン川のほとりに存在したという巨大な帝国についての伝説のことですが、実際、黄金が東方のアマゾンの方角から運ばれたことから、征服者達が、そのパルティティというものが黄金都市エルドラドであると考えたのは自然なことです。

※パルティティ伝説とは…
インカの人々にとっては、自分たちのルーツで精神的な拠りどころとしている大切な伝承。アマゾンの奥にあるとされる土地。

古代に思いを馳せて

さて、今回は中米メキシコを旅したときの布を使い、イメージだけ作ってみました。詳しい方から見ると図柄が多少違うでしょうが、お許しを。

古代に思いを馳せるのも楽しいものです。

目黒 佐枝(めぐろ さえ)

GIAサンタモニカ校にて、GGを取得。その後、高級ジュエラーで10年に亘り、ジュエリー選びのアドバイスと販売に携わる。

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