資産価値としてのジュエリー

「資産価値」としてのジュエリー【第8回】エメラルド

2023年4月30日

最近、身につけるだけでなく「資産価値」としてジュエリーが注目されています。理由はさまざまありますが、鉱山からの産出が減ってきていること、そして新興国の富裕層が素晴らしいジュエリーをコレクションする機会が増えていることが主な要因です。
そこで世情にそって本連載では「資産価値」の観点からジュエリーを見ていきたいと思います。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」2023年5月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

古くから愛されてきたエメラルド

 深い緑の色合いが神秘的な5月の誕生石・エメラルド。人類との歴史は大変古く、およそ4000年以上前にはジュエリーとして用いられていたと考古学的に証明されています。エメラルドはエジプトやローマはじめ、様々な土地で尊ばれ、クレオパトラが最も愛した宝石でその鉱山を持っていたなど、数多の伝説を生みだしてもきました。

エメラルドの価値

 そんなエメラルドは有名なカラーストーンのひとつとして、古来より常に高価値で取引されてきました。宝石の中でも特に過酷な状況下で成長するため原石のサイズが小さく、大粒が大変希少。また透明度が高く、内包物が少ない素材も高価値です。

エメラルドの産地と特徴

コロンビア産のエメラルド

 主たる産地は、コロンビア、ザンビア、ブラジルなど。中でもコロンビア産のエメラルドは鮮烈な青緑色が印象深く、最も高額で取引されるブランド産地。熱水鉱床と呼ばれる環境で成長するため水分を内部に取り込みやすいという特徴を持っています。研磨時にこの水分が外部に流れ出来た天然のクラックを目立たせないよう、オイルを浸み込ませる処理が一般的に行われています。

ザンビア産のエメラルド

 次に有名なのはザンビア。過去には淡い緑色のみが採掘されていましたが、新たに見つかった鉱山からは雑味がなく色の濃い緑色のエメラルドが産出されるようになり、一気に注目されるようになりました。

鮮烈で人目を引き付けるコロンビア産、純色の緑でファッションと親和性の高いザンビア産、いずれも素晴らしい特徴を持っているので両者ともにコレクションすることをおすすめいたします。

オークションにおけるエメラルド

 各国のオークションにおいても、しばしばその価値が推し量れます。2011年、ジュネーブで開催されたオークション(サザビーズ)では、大粒ペアシェイプ11個を配した「ドナースマルク・ティアラ」が、ティアラとして過去最高の1273万6927ドル(約13億円)で落札されました。また、2017年/ニューヨーク(クリスティーズ)では、ロックフェラーが所有していた18.04ctのステップカットが約7億1650万円で落札。2019年5月にジュネーブ(クリスティーズ)にて250年以上前にコロンビアで採掘されロシアの女帝エカチェリーナ2世が所有していた「エカチェリーナ2世のエメラルド」が出品され、市場予想を大きく上回る430万ドル(約4.6億円)となりました。

左:ロックフェラー エメラルド (2017年6月 クリスティーズ)
出典:Christie's | THE ROCKEFELLER EMERALD
https://www.christies.com/en/lot/lot-6087199
右:エカチェリーナ2世のエメラルド (2019年5月 クリスティーズ)
出典:Christie's | THE IMPERIAL EMERALD OF GRAND DUCHESS VLADIMIR OF RUSSIA SUPERB EMERALD AND DIAMOND PENDENT NECKLACE
https://www.christies.com/en/lot/lot-6199493

 春らしい爽やかな緑の輝きと、唯一無二の存在感が人々の心を惹きつけてやまないエメラルド。 GSTVでは世界的に有名なエメラルドハンターの協力を得て、数多くのジュエリーをフェアプライスで紹介しております。この機会にエメラルドのご購入をご検討ください。

\もっと見たい方!/

古屋 聡(ふるや さとし)

大手鑑別機関や海外オークション会社に勤務した経験を活かし、様々な角度からジュエリーを解説するカラーストーンプロフェッショナル。FGA(英国宝石学協会)資格取得。

> 古屋 聡のプロフィール

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