「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」が映画の中のジュエリーを考察。今回は、映画「オーシャンズ8」のジュエリーをテーマにご紹介します。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2021年8月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
映画「オーシャンズ8」
この映画には、高級宝飾店で有名なカルティエが登場します。地下の奥深くにある金庫内に保有するダイヤモンドのネックレス「トゥーサン」を女性8人で結成した犯罪集団が盗むという話です。主人公デビー・オーシャンが服役中、カルティエの1億5000万ドル(165億円超え?)のネックレス「トゥーサン」を手に入れるために、綿密に計画を練り、それを出所後に実行するというのがこの映画のストーリーになります。
実行の舞台は、セレブリティが集まる豪華ファッションショーのMETガラ。彼女達の連携プレイが見事で、テキパキと自分の役割をこなしていくキレの良さは圧巻です。さて、その狙いを定めたネックレス「トゥーサン」とは・・・。
映画:オーシャンズ8(Ocean's Eight) 公開:2018年8月 監督:ゲイリー・ロス
出演:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ 他
ネックレスのデザイン画
映画の中に出てくるネックレスは、カルティエのアーカイブのデザイン画の中から選ばれ、制作されたそうです。オリジナルは、1931年にナワナガルのマハラジャ(※)からの注文で作ったネックレスで、マハラジャの亡命後、そのネックレスは失われてしまったようです。
映画の中のダイヤモンドは、すべてカラーレスダイヤモンドですが、マハラジャに納品したのは男性用で、ピンクとブルーのファンシーカラーダイヤモンドがホワイトダイヤと共に使用されていました。さすがですね。
インドでは、各地域にマハラジャが存在し、大きな宝石を多く所有していました。古代から、大粒の物は国外に出さないようにしていたと言われています。フランスでは貴族文化が終焉を迎えてから、一流宝飾店が存続し発展するためには、いかに中東各国やインドの王族たちを顧客に持つかにかかっていました。
そのような経緯から、保存されていたデザイン画があり、映画のためにそのネックレスが復刻されたとは刺激的です。
映画に戻りますが、何よりかっこいいと感じたのは、8人それぞれがプロフェッショナルな域に達していることでしょうか。どんな職業でも、極めるって格好いいなぁと改めて感動しました。
あ、いけない!これは、その能力を犯罪に使ってしまった一番いけない例でしたね。
※マハラジャ
インドの各地域の藩王。イギリスの統治下にあっても、自治権を認められた支配者のこと。日本の「藩」のイメージに近い。