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資産価値としてのジュエリー

「資産価値」としてのジュエリー【最終回】資産としての宝石

最近、身につけるだけでなく「資産価値」としてジュエリーが注目されています。理由はさまざまありますが、鉱山からの産出が減ってきていること、そして新興国の富裕層が素晴らしいジュエリーをコレクションする機会が増えていることが主な要因です。
そこで世情にそって本連載では「資産価値」の観点からジュエリーを見ていきたいと思います。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」2024年9月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

宝石の資産価値

 最近の番組を見ていると「以前よりも宝石の価格が上がっているな」と感じる方は多いのではないでしょうか?

実際にジュエリーの価格は国際的にも上昇の一途をたどり、特に色石については最前線で買付けを行っている立場で見ると倍以上の価値になっている宝石が数多く存在しています。理由は異常な円安、コロナウィルスのパンデミック、ヨーロッパやアラブ地域での紛争など、多く挙げることができますが、最大の理由は「宝石を所有したいと希望する富裕層が増えている」こと、つまり宝石の需要が高まり続けていることに起因しています。

そして新興国の富裕層が更に増えると予想されている現在においては宝石の資産価値もますます上昇していくであろうと考えられています。

資産として評価の高い宝石

 それではどのような宝石が資産として評価が高いのでしょうか?
 筆頭に挙げられるのはダイヤモンド。4Cと呼ばれる品質の等級付けが確立されており売却する際のスピード感は他の宝石と一線を画します。ピンクやイエローなどのカラーダイヤモンドもその希少性から人気で、特に天然のブルーダイヤモンドは不況の際にも価格が上昇するという稀有な存在。

 ただし価格の上昇という面に光を当てるとルビー、サファイア、エメラルドなどのカラーストーンのほうが魅力的。近年では見た目の美しさに加え、処理の程度や産地なども価格決定に大きく影響するので、今お手持ちのコレクションについて、より深い情報を得ておくことをオススメします。

スピネルやアレキサンドライト、クリソベリルキャッツアイのようなルビー・サファイアの仲間(アルミニウム鉱物)は輝きが強い・硬度が高く耐久性に優れている・希少性が高いという宝石の3要素をハイスコアで備えており世界的に人気です。またパライバトルマリンやブラックオパール、インペリアルトパーズのように需要が高いものの鉱山から採掘が枯渇している宝石たちも注目すべきアイテムです。

 どのようなジュエリーを保有するにせよ、ある程度の大きさや品質を持つアイテムのほうが売却の際に有利になる、例えば「1万円のジュエリーを30点」買うよりも「30万円のジュエリーをひとつ」保有した方が売るときに価値が認められやすいこともあわせてお伝えしておきます。

ジュエリーの売買

 さて、金とカラーストーンは私が宝石業界に入ってから総じて価格が上がり続けていますが、いざ売るとなると「いつ、どこで売れば良いのか分からないし不安」という声をよく耳にします。

街の買取り店に持ち込むと二束三文で買い叩かれるという現実があるのも承知しています。ただ、欧米ではオークションやビンテージジュエリー専門店、そしてインターネットを介した宝石の流通システムが既に確立していて、皆が納得する形で誰もがジュエリーの売買を行っています。

同様にGSTVにおいてもJSM(ジュエリーセカンダリーマーケット)にて、番組でお求めいただいたジュエリーを購入の7割程度の価格で売却できるサービスが好評ですね。このように今後日本においてもネットにおける新たなシステムやプラットホームが開設され宝石の二次市場が発展する可能性は高いと思われます。

最後に

 最後に「色石バイヤーからの希望」という目線で宝石を所有する意味についてお願いがあります。

宝石にとって資産価値というのは大きな要素であり、手持ちのジュエリーがより高価値になるのは嬉しいことです。しかし、最前線での買付け時に大事にしているのは「ジュエリーを所有することで日々の生活に彩りが加わり、音楽や美術同様の文化的な喜びを感じて欲しい。そんな喜びに見合う美しい石をお客様に届けたい」という想いです。

 人により好みが違うのは自然なこと、だからさまざまな宝石やデザインを考え、お客様にTVを通し直接提案し、心から気にいったアイテムを選んでいただく。その上で身につけることで得られる満足感が最大になるよう宝石商を続けております。
 繰り返しになりますが、まずは気に入ったジュエリーを身につけてください。そこから楽しいジュエリーライフは始まるものと個人的には思っています。

 計15回に渡り宝石を資産価値としての側面から綴ってきましたが、今回が最後の連載になります。イベント等でもご意見・ご感想をいただく機会が多く大変励みになりました。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。
 今後もGSTVの放送にて宝石の知識や背景、歴史などを解説できるよう努めてまいりますので、変わらぬご支援を賜りますようお願いいたします。

-資産価値としてのジュエリー