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イーダー通信

ムンシュタイナー工房再訪 ~次世代を感じる旅~【イーダー通信】

2022年7月30日

 長きにわたり毎年1回以上訪れていたドイツ、イーダー・オーバーシュタイン。2020年以降、海外渡航が困難な状況でしたが、今回ようやく再会が叶いました。2年10か月ぶりの訪問で得た最新情報を2回にわたりご紹介いたします。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2022年8月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

ギネス世界記録認定 “Apollo”

アトリエに飾られたApolloとギネス世界記録証。

 まず皆さんにお伝えしたいビックニュース。

それは、あの有名なムンシュタイナーカット“Apollo”が2022年5月に「世界最大のカットされたパライバトルマリン」としてギネス世界記録に認定されたことです。

私自身、数年前からアトリエに展示されているのを見てきましたが、表面はバフトップ、裏面にはもちろんシャープなムンシュタイナーカットが施され非常に美しいパライバトルマリンです。その大きさは196.17ctで、今回ギネスに認定されたことにより、ムンシュタイナー作品の知名度、注目度がさらに高まることは必至で、今後の反響がとても楽しみです。

 「コロナ渦の2年半の間、多くの困難があったが普段取り組むことのできないことにチャレンジする良い機会となった」とトム・ムンシュタイナー氏が話してくれたことが印象的でした。

時間をかけ新しい作品を生み出すことに加えて、こうした記録にも挑戦していたことを知り、改めて感心させられました。

Apolloを身に着けるユッタ氏。その存在感と美しさは別格。

宝石彫刻家の道を歩みだした、フィリップ・ムンシュタイナー

 トム・ムンシュタイナー氏の一人息子フィリップ君。前回訪問時は15歳で、まだあどけなさの残る少年といった印象でした。

今回の再会で、18歳を迎えた彼の横顔は頼もしさを増しており、一人前の彫刻家の表情を垣間見ることができました。5歳の時に木を用いた作品で彫刻をはじめ、7歳で石を用いて彫刻を開始。前回訪問した2019年当時は、全工程の4分の3は自らの手で彫刻できるようになったと聞いていました。

この5年で背が一段と高くなりました。左から2番目がフィリップ君。(2017年撮影)
2022年撮影

そんな彼が、ベルント氏、トム氏とともに世代を超えて一つの石にカットを施した「ジェネレーションカット」を見せてくれました。3人の思想や気持ちをどのように一つの石の中に表現するか、それが一番大変だったと教えてくれました。

ドラゴンカット
ジェネレーションカット

旅の余談

 ここ数年、飲食店や店舗が閉店するというニュースを日本でも多く目にしていたので、イーダー・オーバーシュタインの街並みは変わっていないか、大好きなレストランはどうしているか心配していました。

助成制度が充実しているというドイツ。岩窟にあるフェルゼン教会を見上げる街の広場周辺のカフェやレストランも元気に営業しており、変わらぬ風景に安堵しました。

広場から見えるフェルゼン教会

5月と言えばホワイトアスパラガスの季節。今回もしっかり堪能させていただきました。

この季節のみ食べることができるホワイトアスパラガス

 

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三沢 一章(みさわ かずあき)

長年に渡りドイツジュエリーを研究。イーダーオーバーシュタインの宝石を日本に紹介すると同時にストーンカメオの研究家でもある。

> 三沢 一章のプロフィール・Q&A

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