イッツア目黒ワールド

映画の中のジュエリー Vol.1「クレオパトラ」

2020年12月31日

「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」が映画の中のジュエリーを考察。今回は、映画「クレオパトラ」のジュエリーをテーマにご紹介します。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」2021年1月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

2021年の今年は、過去の映画やドラマなどに出てくる印象的なジュエリーを見つけながら、時代背景に関連する衣装のトレンドとジュエリーのデザインの関わりや意味について、考察していきたいと思います。

映画「クレオパトラ」

 1960年代のハリウッド映画、エリザベス・テイラー演じる『クレオパトラ』をご覧になったことがおありの方もいらっしゃると思います。この映画の見どころは、豪華な衣装やジュエリーの数々を堪能できることでしょうか。世界三大美女として名を残したクレオパトラ7世の人生を描いていますから、歴史上の人物の装いを、エジプトからローマにかけて映画でどう表現したのかが興味深いですね。

映画:クレオパトラ(Cleopatra) 公開:1963年11月
監督:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ 主演:エリザベス・テイラー

衣装とジュエリー

 今回の注目は衣装とジュエリーの二つです。一つは、ローマの女性達が着ているドレープのきいたハイウェストスタイルに合わせたドロップ型のパールジュエリー。二つ目は、ゴールドを主体とした蛇モチーフで、クレオパトラは大胆なジュエリーによって威厳を出し、美しさを際立たせています。大きく下がったドロップ型天然パールは羨ましいほど素敵!ペルシャ湾や紅海、インド洋、マナール湾で採られたパールは地中海貿易によってローマにもたらされていたのでしょう。

 古代から現代まで、蛇をかたどったジュエリーがエジプトからシチリア島をはじめとして地中海世界で好まれたのは、謎の多い生態、毒を持つ、手足に頼らない素早い動きが可能ということから「神秘」「パワー」「聡明」という解釈がなされているそうです。

 そして天然パールの希少性について。当時から今も天然真珠を持てることは特別なことです。その証拠に、2018年ジュネーブで行われたオークションに、アングレーム公爵夫人※を経た天然真珠のジュエリーが出ました。落札額は大きなダイヤのブローチが約2億3千万のところ、ドロップ型パールのブローチは、約41億円で落札されました。いつの時代も天然パールは注目なのですね。

※アングレーム公爵夫人

マリーアントワネットの娘マリーテレーズ。唯一生き延びることが出来た。革命当初に、アントワネットは一部のジュエリーをベルギーに住んでいたアントワネットの姉に送った。それを後に娘が所有。晩年、親類のパルマブルボン家に譲渡。2018年、パルマ家からアントワネットが所有したジュエリーとしてオークションに出された。

目黒 佐枝(めぐろ さえ)

GIAサンタモニカ校にて、GGを取得。その後、高級ジュエラーで10年に亘り、ジュエリー選びのアドバイスと販売に携わる。

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