ラピスラズリほど長く、多くの逸話に彩られた歴史をもつ宝石はまずありません。そこでラピスラズリにまつわる伝説や逸話をほんの一部をご紹介します。
古代メソポタミアでラピスラズリの交易が盛んだった
古代メソポタミア南部にあった古代都市ウルでは、ラピスラズリの交易が紀元前4000年には盛んに行なわれておりました。また古代メソポタミア文学「ギルガメシュ叙事詩※」にもラピスラズリが登場します。
ギルガメシュ叙事詩とは
ギルガメシュ叙事詩とは、シュメール人が残した古代メソポタミアの文学作品。紀元前2600年に実在していたとされる古代メソポタミアの王ギルガメッシュを巡る、人類最古の物語です。
出エジプト記で登場するラピスラズリ
ラピスラズリの記述は「出エジプト記※」にもあります。
出エジプト記とは
出エジプト記は、旧約聖書の一書。モーセ五書の中の2番目の書。預言者モーセが奴隷だったイスラエル人を引き連れてエジプトを脱出する物語を中心に描かれています。
古代エジプトでは宗教儀式で使用
古代エジプト人は宗教儀式でラピスラズリを使用していました。
エジプトの「死者の書※」のあちこちに登場するだけでなく、ツタンカーメンを含め、王家の墓所でラピスラズリを使った品々が発見されています。
死者の書とは
古代エジプトの新王国時代(紀元前16世紀)以降に作られ、冥福を祈り死者と共に埋葬された葬礼文書のこと。
ギリシャ人とローマ人にとってのラピスラズリ
ローマ人の多くは、ラピスラズリを媚薬作用があると信じていました。またギリシャ人とローマ人は、ラピスラズリを勇敢な行為の褒美として使い、象眼細工やジュエリー、お守りや魔よけにも使っていました。
彼らはラピスラズリを「サフィルス」(青)と呼び、それが現在コランダムの青い仲間サファイアの名前となっています。
顔料として使用される
ラピスラズリが最初にヨーロッパに紹介された時には、「海のかなた」という意味の「ウルトラマリーヌム」と呼ばれていました。
ラピスラズリは粉末にして油と混ぜてウルトラマリンという顔料にされ、ルネサンス期の絵画の美しい青として残っています。ウルトラマリンは1828年以降、合成されています。
治癒と浄化の力
中世において、ラピスラズリは手足を健康に保ち、魂を過ちやねたみ、恐れから遠ざけると考えられました。17世紀には薬品として、流産やてんかん、痴呆を防ぐために使われたのです。
優れた治癒と浄化の力があるとされ、悟りへの道を示し第3の目を開くと言われています。
黄金と同じくらいの価値があった
ラピスラズリは古の錬金術師がよく使った石であり、薬品や化粧品、絵の具にも使われました。また、能力や成功、神の恵、古くからの知恵を与え、喉の痛みを取ると信じられてきました。
かつては黄金と同じくらい価値があったのも不思議はないと言えるでしょう。
ラピス鉱山の記録
アラブの地理学者イスタフリは、10世紀にアフガニスタンのラピス鉱山を訪ねた時のことを記録しています。またマルコ・ポーロ※も鉱山を訪れ、1271年にそのことを書きました。
マルコ・ポーロとは
ヴェネツィアの商人で、ヨーロッパや中央アジアを紹介した「東方見聞録(世界の記述)」の著者。
まとめ
「ラピスラズリ」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説・歴史についてご紹介いたしました。
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