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宝石辞典

ダイオプサイドの特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説について

1995年3月11日

”涙を流す宝石”と呼ばれていた「ダイオプサイド」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説についてご紹介します。

ダイオプサイドとは

ダイオプサイドの特徴
原産地 インド、ロシア
青、茶、無色、緑、グレー、紫、白
属性 輝石
硬度5.00 - 6.00
屈折率1.66 - 1.73
比重3.22 - 3.38

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ダイオプサイドの伝説・歴史とは

名前の由来

ダイオプサイドは1800年にギリシャ語の「二倍、二重」を意味する「ディス」と「見ること」を意味する「オプシス」にちなんで名付けられました。これは角柱状の形のときに多色性(見る角度によって違う色が見える)を呈することによるものです。

クリスタル療法

クリスタル療法では、ダイオプサイドは涙を浄化させトラウマを癒すと考えられているため、「涙を流す宝石」とも呼ばれています。またペンダントなどの形で胸の近くにつけると心臓や肺、血流に良いと信じられています。

そのほかの言い伝え

身につける者に創造性をもたらすとも考えられ、愛と約束に関係すると言われています。

ダイオプサイドの特徴・特性とは

ダイオプサイドは変形した不純物を含む石灰石、隕石、火成玄武岩などに含まれるカルシウム・マグネシウムケイ酸塩鉱物です。以前は「シェッフェル輝石」、「白シェッフェル輝石」、「亜鉛シェッフェル輝石」などと呼ばれました。鉱物としてのダイオプサイド(透輝石)はマグネシウム分に富んだ単斜輝石の仲間です。

ダイオプサイドの結晶は2方向に完全にへき開していて、双晶で短柱状の場合が多いのですが、断口はでこぼこです。鉱物学者はフィールドワークでも、結晶の晶癖と色、断口、へき開、そして白あるいは白っぽい緑の筋を見れば、簡単にダイオプサイドを見分けることができます。

ダイオプサイドの色

ダイオプサイドはガラスのような光沢があり、主な色は次の通りです。

  • 無色
  • グレー など

珍しい色合いでは、黄色がかった茶色や緑がかった茶色などがあります。

ダイオプサイドの変種

ダイオプサイドの変種には、次のようなものがあります。

名前特徴
クロムダイオプサイドクロミウムを多く含み、深い緑色で知られる
ビオランイタリアで採掘される珍しい青色のもの
ダイオプサイド・キャッツアイ緑色でルチルの針状結晶体を含有しているためキャッツアイ効果を見せる
マラコライト白いもの
サライト鉄分を含むもの
デカルバイト鉄分のないもの
スターダイオプサイド4条の星の光を放つもの

主な産地

宝石の品質を持つダイオプサイドは、次の場所で採掘されています。

  • シベリア(ロシア)
  • ミャンマー(旧ビルマ)
  • インド
  • イタリア
  • スリランカ
  • ブラジル
  • マダガスカル
  • 南アフリカ
  • パキスタン

ウズベキスタン

タジキスタンとトルクメニスタンの間に位置するウズベキスタンも、「タシュマリン」というロシア産ダイオプサイドの一種の産地として注目を集めています。

この「タシュマリン」はクロミウム含有率がシベリア産のものよりやや低く、色が淡くてグレーや茶色の色調になることもあります。

インド

インドは「ダイオプサイド・キャッツアイ」と「スターダイオプサイド」の最大の鉱床を有しています。

アフリカ

アフリカ産のダイオプサイドは黄色が強く、ペリドットに似ています。

種類別で見るダイオプサイド

クロムダイオプサイド

クロムダイオプサイドは美しい深緑色で、最高のエメラルドや希少価値のあるツァボライト・ガーネットに似ています。この色はクロミウムによるもので、この珍しい宝石に関して歴史的な情報はほとんどありませんが、健康や人間関係、スピリチュアリティ、経済的な成功に役立ってくれると言う人もいます。

クロムダイオプサイドは強い複屈折を見せ、ガラスのような光沢があります。ほとんどが小さなサイズで、カラット数の多いものはなかなか手に入りません。

産地

クロムダイオプサイドがあまり知られていない大きな理由のひとつに、市場に出回るだけの量が産出されるようになってまだ間もないということがあります。

クロムダイオプサイドの主な産地はシベリア(ロシア)のヤクーチアです。ヤクーチア地域はアジアの北の端にあり、北半球で最も寒い場所と考えられています。寒い冬が9か月続くことから採掘時期は限られ、その結果、年間を通しての供給を維持するのは困難です。興味深いことに、ヤクーチアはまたロシア産ダイヤモンドの99%を産出しています。クロムダイオプサイドは、ダイヤモンド鉱脈の指標鉱物で、時にはダイヤモンドのインクルージョン(内包物)として発見されることもあります。旧ソビエト連邦の経済が自由化されたことにより、クロムダイオプサイドは以前より入手しやすくなりました。

スターダイオプサイド

スターダイオプサイドは、その黒っぽい色から「ブラックスターダイオプサイド」とも呼ばれます。

アステリズム(星状光彩)は、宝石の表面に2筋以上の光が現れる反射効果です。スターダイオプサイドは4条の光を放ち、そのうちの2条はまっすぐで、残りの2条はそれに直角ではない角度で交わっています。主にインドで採掘され、黒や黒っぽい緑色をしているのが一般的です。

ダイオプサイド・キャッツアイ

緑色をしたダイオプサイドです。シャトヤンシー(キャッツアイ効果)は、宝石の表面に1条の光が現れる反射効果です。ダイオプサイド・キャッツアイは主にインドで採掘されますが、ミャンマー(旧ビルマ)でも発見されています。

ビオラン(バイオレーン)

ビオランのライトブルーから紫の色合いは、マンガンを多く含んでいることによるものです。ビオランの主な産出国はイタリアで、通常ビーズや象眼細工に用いられます。ファセットカットしたものはごく小さいサイズに限られます。

まとめ

「ダイオプサイド」の特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説・歴史についてご紹介いたしました。

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