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コラム

アートアンドクラフツ運動(Arts and Crafts movement)

2020年3月1日

「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」がジュエリーの様式とその歴史を解説。今回は、アートアンドクラフツ運動(Arts and Crafts movement)について、特徴などをご紹介します。

(番組ガイド誌「GSTV FAN」2020年3月号掲載記事をWEB用に再編集しております)

前回まではフランス発祥の様式でしたが、今回は19世紀のイギリスの造形芸術の興りを見てみましょう。

アーツ・アンド・クラフツは、プレモダニズム期最大の工芸デザイン運動、言い換えれば手工業の復活を説く活動と言われています。

ご存じのように、イギリスでは18世紀後半から産業革命が始まり近代化の流れが進みました。それまでの手工業から大量生産の時代になると、どこでも同じようなもの、粗悪な製品が当たり前のように身の回りに溢れてくるようになります。

そこで、美術批評家・建築史家であったジョン・ラスキンは手工業の質のよいものを見直そうと多くの著書で真の価値を論じ、社会改革しようとします。ラスキンの美学に影響を受けた人々のなかで、筆頭に上げられるのがウィリアム・モリスやヴァン・デ・ヴェルデです。モリスは、詩人・文筆家・画家であり(絵画は1枚程度)、近代デザインの父と言われた人物で、ラスキンの著作に感銘を受け、美と真実との表現を真摯に求めました。

モリス商会(旧モリス・マーシャル・フォークナー商会)を設立し、調度品にこだわった家(レッドハウス)をはじめ、壁紙やテキスタイル、ファブリック、書体、挿絵などのデザインや製造を1940年まで手がけました。

特に注目は、自然の動植物をモチーフとした生命の生き生きしたデザインでしょう。権利を買い取った会社が今も製造販売していますので、お好きな方もいらっしゃるのではないですか?


 さて、私はたがねを使ったような手仕事感のある着けやすいジュエリーで探してみました。植物の文様と毛彫りのようなテクスチャーの融合から手作り感が出ています。醸し出す手作りのぬくもりとモダンなシルエットの融合が素敵ですよね。そこに、彫刻された蝶のブローチを、織りのはっきりしている生地の服の上にあしらってみました。

 皆様も、手仕事の魅力やこだわりを感じるようなジュエリーを楽しんでみてくださいね。

目黒 佐枝(めぐろ さえ)

GIAサンタモニカ校にて、GGを取得。その後、高級ジュエラーで10年に亘り、ジュエリー選びのアドバイスと販売に携わる。

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