「麗しの宝石ショッピング」「ジュエリーライフ11」でお馴染みの人気コメンテーター「目黒佐枝」がジュエリーの様式とその歴史を解説。今回は、Art neuveau(アール・ヌーボー)様式のデザインについて、特徴などをご紹介します。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2020年1月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
アール・ヌーボー様式
18世紀初頭のヨーロッパのロココ様式に着想を得て、1890年~1914年頃、フランスとベルギーで最初に流行しはじめた流麗で曲線を多用したデザインを「アール・ヌーボー様式」と呼びます。
ベルエポックと呼ばれるこの時代1867年のパリ万博以降流行していたジャポニズムの影響を受け、それまでの西洋では使わなかったエキゾチックな植物、昆虫、鳥、蛇などの自然のモチーフがデザインに多用されるようになりました。その後、国境を越え、スペインやロンドン、アメリカへと広がっていきます。伝わった地域の文化や風土的な要素も加わり、メトロ様式、ミュシャ様式、モデルニスモ、1900年様式、モダンスタイルなどと呼ばれることも。
よって、必ずしも単一的というわけではありませんが、共通しているのは自然への関心に象徴される優美なスタイルが特徴です。実際、有機的なフォルム、植物の左右非対称、昆虫や羽のある虫がこの様式では好まれていますよね。
この頃のジュエリーは、色を主流とした時代からの転換期。色を前面に出さず淡い色、白っぽい色が好まれ、ダイヤモンド、真珠、プラチナが主流となりました。
ガラス工芸で有名なルネ・ラリックは元々ジュエリーデザイナーで、女優サラ・ベルナールが亡くなるまでジュエリーデザイナーとして舞台用ジュエリーを作製することに打ち込んだことは有名です。またアルフォンス・ミュシャもポスターと共に蛇モチーフのジュエリーをコラボレーションしました。
さて、新年は美術的なジュエリーデザインでおしゃれしてみたいですね。アールヌーボーらしい蝶のモチーフジュエリーはいかがでしょう。合わせるジュエリーも曲線を共通としたものを選んでみました。