宝石辞典

【まとめ】知っておきたい宝石「パール(真珠)」の基礎知識

2015年11月25日

「パール」の特性、特徴、希少性、石にまつわる歴史についてご紹介します。

パールとは

青い海の底にあるパールを、島の人びとが素潜りで取ってくる時代はほぼ終わりました。天然パールに対する人々の憧れによって、一時はある種の貝が絶滅の危機に瀕し、海の宝石はごく一部の選ばれた人々のものになっていました。しかし現在では、御木本幸吉のおかげで、デリケートな生態系の安全は守られるようになり、養殖ではない天然のパールはアンティークでのみ見られるものとなりました。

御木本幸吉とは、御木本真珠店(現・ミキモト)創業者。うどん屋の長男として生まれた御木本幸吉は、真珠の養殖技術を完成させ、真珠の品質を世界中に認めさせた人物です。

パールの特徴
原産地 オーストラリア、中国、インドネシア、日本、フィリピン、タヒチ
白、黒、グレー、黄色、オレンジ、ピンク、ラベンダー、グリーン、青
属性 有機物
硬度2.5〜3.0
屈折率1.52~1.69
比重2.60~2.85
その他6月の誕生石

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パールにまつわる伝説・歴史とは

パールは最も古くから知られる宝石のひとつ。何世紀にもわたって最も価値があるとされてきました。

価値があまりにも高いため、ローマの将軍ウィテリウスは、母親のパールのイヤリングの片方だけで、一回の戦役の経費をまるごとまかなったという言い伝えもあるほどです。

そのほかパールにまつわる伝承は数多く残っています。

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パールの成り立ち

パールの一生は、砂やサンゴ、寄生生物などの異物から始まります。その異物が海水や淡水の貝、たいていはカキなどの二枚貝の殻の中に入ります。

貝は自己防衛の手段として侵入物を「ナクレ」という玉虫色の光沢のある層で包み、それが魅力的なパールになるのです。

ナクレは、アラビア語で貝を意味する「ナカラ」からきています。

自然の環境では、何年もののち、これが相当な大きさと品質のパールになります。

一方、養殖真珠の始まりは偶然の異物ではありません。

養殖真珠

12世紀の中国で既に始まっていた真珠の養殖の第一歩は、「核形成」です。

養殖真珠の一生は、球形のビーズあるいは外套膜組織が貝の中に入れられることで始まります。この植えつけが済むと、パール養殖業者は貝を金網のかごに入れ、水の中に下ろします。水産養殖業者は注意深く貝の世話をし、18か月間から5年間、成長を見守ります。

真珠の色を決める重要な要素であるナクレの層の厚みは、養殖の期間で決まります。

通常、市場に出せるのは半分だけで、最高品質のものは10%未満です。

パールの鑑定

パールは色のある宝石に分類されますが、独特な宝石です。土や火から生まれる宝石と異なり、パールは水の中の生物から生まれる有機的な宝石です。

また4Cの法則(カラー、カット、クラリティ、そしてカラット)が当てはまらないという点でも独特です。

なのでパールの鑑定は、全く異なる基準が必要なのです。パールは色や光沢、表面の透明度、形、大きさによって評価されます。

パールの色

パールの本体の色そのものは白、クリーム、ピンク、ロー ズ、金、銀、グレー、黒などです。

色の好みは人それぞれなので、悪い色というものはありません。純粋に個人の好き嫌いによります。

真珠光沢

本体の色とは別に、パールの鑑定をするときに考慮しなくてはならない2つ目の色があります。

この2つ目の色は、かすかな玉虫色の輝き(イリデッセンス)によるものです。

本体の色に近い場合には特に、見た目ではすぐには分かりませんが、この輝きはパールに大きな魅力を与えます。

特にこの玉虫色の輝きはパールの輪郭の弧の部分で最も強くなります。この美しくきらめく輝きは、「真珠光沢(オリエント)」あるいはオーバートーンと呼ばれ、ナクレの厚みを示しています。

豊かな色合いの真珠光沢を持つパールは、一般的に真珠光沢が少ない、あるいは全くないものと比べて人気があります。

パールの傷

パールは明るく、光を反射する宝石です。

汚れのない滑らかな表面を持つパールは、表面に傷のあるパールより光を多く反射します。鉱物系の宝石に見られるインクルージョン(内包物)と同じように、自然が作るパールには傷があるものがほとんどです。

熟練のジュエリー職人は、穴をあける場所を傷の近くにすることによって、この問題を解決しています。

サイズが大きいと価値が上がる

他の宝石と同様、価値とサイズは密接的に関連があります。パールが大きければ大きいほど価値が上がります。しかし、ひとつ重要なポイントがあります。パールを測る基準は、重さではなくサイズ(例:8.5mm)なのです。

パールの産地

天然の物である以上、パールは条件が整った場合にのみ育ちます。産地が違えばパールの種類も違い、価格も違ってきます。

最高品質のパールはフランス領ポリネシアや日本、中国などの海でできます。しかし環境や貝の種類、養殖技術などが異なるため、養殖パールにはそれぞれの特徴があります。

淡水パール

淡水パールは日本が最初ですが、現在では中国が主要な産地です。

中国ではカキではなくイケチョウ貝を使った淡水パール養殖に力を入れ、成功しています。イケチョウ貝は二枚貝の仲間のカキほど有名ではありませんが、同じように質の高いパールを作ることができます。

タヒチパール

タヒチアン・パールはフランス領ポリネシア産のものです。海水に住む大きな黒いカキ(黒蝶貝)で育てられるタヒチアン・パールは、そのひときわ優れた美しさで人気があります。

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南洋パール

人々の羨望の的である南洋パールは、オーストラリア、インドネシア、フィリピンが産地です。

養殖に使われるのは暖かい海水を好み、金と銀のふちを持つ大きな白蝶貝です。様々な種類の白蝶貝で育てられる南洋パールは、素晴らしい色をしています。

まとめ

「パール」の特性、特徴、希少性、石にまつわる歴史についてご紹介いたしました。

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