最近、身につけるだけでなく「資産価値」としてジュエリーが注目されています。理由はさまざまありますが、鉱山からの産出が減ってきていること、そして新興国の富裕層が素晴らしいジュエリーをコレクションする機会が増えていることが主な要因です。
そこで世情にそって本連載では「資産価値」の観点からジュエリーを見ていきたいと思います。
(番組ガイド誌「GSTV FAN」2024年5月号掲載記事をWEB用に再編集しております)
トルマリンの世界
レッド・オレンジ・イエロー・グリーンなど、宝石の中で一番多彩なカラーバリエーションを持つことからカメレオン石とも形容されるトルマリン。そんなトルマリンの世界で、新参ながら評価が急上昇したのがパライバトルマリンです。
パライバトルマリンの特徴
パライバトルマリンの特徴といえば、何といってもネオンブルーやエレクトリックブルー等と呼ばれるグリーン/ブルー。このように鮮やかで華やかな色の宝石はそれまで発見されていなかったこともあり、1989年1月に開催された世界最大のミネラル・ショーにおいてデビューした直後から人気が集中。宝石界のスター的存在となりました。
特徴的な色
特徴的な色合いは、銅、それにマンガンが影響しています。銅の量が多いと青色が強くなり、マンガンが多くなると紫の色合いが強まります。ターコイズも銅による鮮やかな色が人気ですが、パライバトルマリンは透明石であるにも関わらず銅イオンが遷移元素として存在している唯一無二の宝石であることが大きな特徴。化学式が非常に長い=多様な元素で構成されるトルマリンだからこそ成し得た奇跡ですが、色が濃く鮮やかな素材はごくわずか。さらに透明度のある内包物の少ない石は特に高額で取引されています。
パライバトルマリン発見
パライバトルマリンの歴史はまだ浅く、最初に発見されたのは1987年8月、ブラジルのパライバ州バターリャ地区で、ブラジル人探鉱者エイトール・ジマス・バルボーザの手によるものでした。
その後、隣接するリオ・グランデ・ド・ノルテ州でも採掘が開始されましたが、高品質な素材が産出していた期間は短く、ルビー、サファイア、エメラルドといった3大色石と比較しても総産出量は圧倒的に少ない宝石です。
2001年にはナイジェリアのオヨ州エドウコ鉱山で、同年モザンビークでも発見されて、徐々に市場に現れるようになりましたがナイジェリアは早々に採掘停止。モザンビークも初期は美しい原石の採掘がありましたが近年では色が淡い素材しか産出されていないようです。
パライバトルマリンの価値
産出直後から日本人バイヤーが積極的に買付したので国内では圧倒的な人気を得ていますが、世界ではこれから本格的なプロモートが行われる宝石でもあります。逆説的に考えると、それだけ産出量の少ない希少石であるという証明にもなりますね。
実際、アメリカや中国でパライバトルマリンの評価は着々と高まっており、多くの海外バイヤーが来日して30年前に日本に輸入された高品質なパライバトルマリンを海外に逆輸出していることから、今後も価格が上昇し続けると予想されています。
オークションにおけるパライバトルマリン
オークションでは、2018年5月に香港で行われたクリスティ―ズのオークションにおいて、7.46ctと6.81ctのパライバトルマリンが、278万ドル(約3億円)で落札されました。現在のところパライバトルマリンの最高取引金額です。
その後2022年に同地で開催された同オークションでは、14.20ctのペアシェイプカットのパライバトルマリンのリングが6,250,000香港ドル(約1億620万円)で取引されています。
鮮烈な色合いとネオンのような輝きが神秘的な存在感を放つパライバトルマリンのジュエリー。その希少性ゆえに高値の華となっていますが、GSTVでは特に力を注いでこの石を調達し、フェアプライスで紹介しております。この機会に改めて購入をご検討いただければ幸いです。
パライバトルマリンジュエリーをご紹介
-
水天一碧 〜 PARAIBA TOURMALINE 〜
晴天も雨天も、爽やかで清々しい初夏。青く広がる空や雫きらめく大地をのぞむにふさわしい、高品質なネオンブルーの石を厳選しま ...
続きを見る
パライバトルマリンについて詳しく解説
-
【まとめ】知っておきたい希少石「パライバトルマリン」の基礎知識
世界三大希少石のうちの一つ「パライバトルマリン」について基礎知識をまとめました。 目次 パライバトルマリン ...
続きを見る
-
バイヤー内藤、宝石を語る。「パライバトルマリン」
石の買い付けからデザイン、製造販売まで一貫して行うGSTVだからこそご紹介できる高品質なジェムストーンの数々。スーパーバ ...
続きを見る
\もっと見たい方!/
古屋 聡(ふるや さとし)
大手鑑別機関や海外オークション会社に勤務した経験を活かし、様々な角度からジュエリーを解説するカラーストーンプロフェッショナル。FGA(英国宝石学協会)資格取得。