宝石の王者とも知られている「ダイヤモンド」。ダイヤモンドにまつわる神話や逸話は、文化や大陸の枠を越えて数多く伝えられています。
そこでダイヤモンドにまつわる神話や逸話をほんの一部をご紹介します。
ダイヤモンドに関する記述
世界最古の記述
ダイヤモンドに関する世界最古の記述は、古代インド・マウリヤ朝(紀元前322年から185年)のチャンドラグプタ王の宰相カウティリヤが書いた『アルタシャーストラ(実利論)』です。インドのサンスクリット語で書かれました。
哲学者プラトン
古代ギリシャの哲学者である、プラトンもダイヤモンドに関した記述を残しています。ダイヤモンドを生き物としてとらえ「宇宙の魂が形となったもの」と書いています。
ハッキリとした記述は紀元後1世紀
紀元後1世紀に初めてローマ時代の文書に、ダイヤモンドについてのハッキリとした記述が登場しました。内容は、インドで発見された沖積鉱床のダイヤモンドについてでした。
「神々の涙」「流れ星のかけら」と信じられていた
古代ギリシャやローマの人々は、ダイヤモンドを「神々の涙」や「流れ星のかけら」だと信じていました。
また、キューピッドの矢の先にはダイヤモンドがついており、比類のない魔法が宿っていると思われていました。
聖職者から見たダイヤモンド
ヒンドゥー教徒は、ダイヤモンドは稲妻が岩に当たってできたものだと信じ、彫像の目に嵌めこんだりしました。
ユダヤ教の位の高い聖職者たちは、被疑者が無罪か有罪かを決める時にダイヤモンドに頼りました。ダイヤモンドを被疑者の前に掲げ、曇って暗くなったら有罪、輝きを増したら無罪としたのです。
戦いにも使われていた
ローマ人はダイヤモンドには人生の問題を解決する魔法の力があり、戦いの時に身につけると、何にも負けない力と勇気を与えてくれると思っていました。
古代の王たちは軍を率いて戦いに臨むときにダイヤモンドなどの宝石をちりばめた重い革の胸当てをつけました。ダイヤモンドには、神から授けられた魔法の能力があり、人間の理解を超えた力を宿していると考えたからです。そこで兵士たちは、王や位の高い者など、不思議なダイヤモンドの胸当てをした人物に近寄らないようにしました。
特権階級だけが身につけられる
フランスでは、ルイ9世(1214‐1270)が節倹令を定め、ダイヤモンドを王の管理下に置いたことからも、この宝石の希少性と価値が認められていたことが分かります。
14世紀までは、ダイヤモンドは力と勇気と無敵さの象徴であったため、王だけが身につけることを許されました。
14世紀にはヨーロッパの王家の宝器やジュエリーに、少数のダイヤモンドがパールの中にアクセントとして使われるようになりました。格別に大きく質の良いダイヤモンドを所有することは、王家や特に裕福な一族の特権でした。
例えばロシアの大帝エカテリーナ2世(1729‐1796)の王冠には、4,936個のまばゆいダイヤモンドが嵌め込まれています。
お守りとしてのダイヤモンド
中世とルネッサンス期には、宝石をはめこんだ指輪は、ジュエリーと言うよりも、身につける者に魔法の力をもたらしてくれるお守りとして考えられていました。
ダイヤモンドがついたゴールドのリングを左手に付けると、悪夢を追い払い、悪魔や幽霊を退け、獰猛な野獣をおとなしくさせることができると信じられていました。
家や庭のすべての角をダイヤモンドでなでると稲妻や嵐、葉枯れ病から守るといわれ、ダイヤモンドは美徳や寛大さをもたらし、精神病を抑えるとも言われています。
ダイヤモンドは、幸運と成功を呼ぶだけでなく、占星術の影響から身を守ってくれると、広く信じられていました。
まとめ
ダイヤモンドにまつわる伝承をご紹介いたしました。
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